需給動向 海外 |
◆中 国◆
国内価格の低下により豚肉輸入量が大幅に減少
中国国家発展改革委員会などによると、2017年の平均子豚価格は前年比14.4%安の1キログラム当たり37.1元(649円:1元=17.49円)、平均生体豚出荷価格は同17.8%安の15.3元(268円)、平均豚肉小売価格は同8.7%安の29.0元(507円)、とそれぞれ下落した(図8)。
収益性の指標とされる豚トウモロコシ比(注1)を見ると、豚出荷価格の下落によって前年より低下しているものの、利益が出るとされる水準の6.0を上回っている(図9)。このため、2017年は、大手生産者による大規模農場新設の計画が多く発表された。
(注1) 養豚経営の収益性の指標とされる。1キログラム当たりの豚出荷価格を飼料用トウモロコシの卸売価格で除したもの。一般に6.0を上回ると農家は繁殖用母豚を購入し、5.5を下回ると繁殖用母豚を淘汰すると言われる。
他方、環境保護を目的とした政府の規制強化(注2)により、これまでに多くの中小経営が廃業したと言われており、需要に見合った肉豚供給を継続できるのか注目される。
(注2) 国務院『水質汚染防止行動計画』(2015年4月公表)よると、畜産の経営を禁止される地域に立地する畜舎は、2017年中に移転または閉鎖しなければならないとされている。
2017年の豚肉輸入量は、前年比24.9%減の約122万トンであった。国別に見ると、デンマーク、ドイツ、フランス、ブラジルはそれぞれ3割以上減少している(表7)。この理由として、国内の豚肉小売価格が前年に比べて下落し、輸入業者の利益を圧迫していることが挙げられる。なお、輸入単価の安い英国からの輸入量は増加している(表8)。
(調査情報部 三原 亙)