需給動向 海外 |
◆チ リ◆
2017年の輸出量、生産減から微減
チリ農業省農業政策・調査局(ODEPA)によると、2017年の豚肉生産量は、と畜頭数が前年同期比3.6%減の487万5256頭とやや減少したことから、同3.7%減の48万9045トンとなった(図7)。同国では、近年、養豚経営に関連する環境規制が強化され、2016年下半期には、国内有数のインテグレーターの農場が複数閉鎖に追い込まれるなど、生産能力の維持・拡大が難しくなっている。
2017年の豚肉輸出量(冷蔵・冷凍)は、減産を受けて、前年比2.0%減の12万7470トン(製品重量ベース)となった(表5)。
国別に見ると、ロシア向けが、原油安などによる購買力の低下で大幅に減少した前年からの反動で同45.6%増と大幅に増加したほか、コスタリカ向けも同72.5%増となった。
一方、最大の輸出先である中国向けは、同国内の豚肉小売価格が前年に比べて下落し輸入業者の利益を圧迫していることなどから、同10.4%減となった。
また、2015年まで最大の輸出先であった韓国向けも、同7.0%減とかなりの程度減少した。同国向け輸出は、2004年に発効した自由貿易協定(FTA)で関税が撤廃されたことにより好調に推移してきたが、2016年以降は安価なドイツ産やオランダ産などとの競合が激化したことで、シェアが低下した。
日本向けは、国内の豚肉需要が好調だったものの、スペイン産やメキシコ産との競合などの影響もあり、同1.1%減となった。
2017年の豚肉輸入量(冷蔵・冷凍)は、前年比59.8%増の9万493トン(製品重量ベース)と過去最高となった(表6)。近年、豚肉生産が停滞する中、人口増や経済成長を受けて需要が拡大しているため、輸入量が増加している。
(調査情報部 佐藤 宏樹)