需給動向 海外

◆豪州◆

牛肉生産量、輸出量ともに増加傾向


1月のと畜頭数、高温乾燥で雌牛が大幅増

豪州統計局(ABS)によると、2018年1月の成牛と畜頭数は、54万1000頭(前年同月比15.5%増)と大幅に増加した。これは、牛群再構築の進展により繁殖基盤が回復し、牛飼養頭数が増加していることから、雄牛のと畜頭数が30万5300頭(同9.9%増)と増加したことに加え、例年よりも高温で乾燥していたことから、雌牛のと畜頭数も、23万5600頭(同23.5%増)とクイーンズランド(以下「QLD」という)州を中心に増加したことが要因とみられる。と畜頭数に占める雌牛の割合は前年同月の40.7%から43.5%に増加したものの、過去5年間の中では比較的低い水準であり、牛群再構築のための雌牛保留は継続しているとみられる。

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1頭当たり枝肉重量は、フィードロット飼養頭数の増加に伴い、全体に占める穀物肥育牛の割合が依然として高いとみられ、302.3キログラム(同2.2%増)と、2017年11月に次ぎ2度目の300キログラム超えとなった。

この結果、同月の牛肉生産量は、16万3523トン(同18.0%増)と大幅に増加した。

肉牛取引価格、2月末の降雨を受けて上昇

豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、肉牛取引価格の指標となる東部地区若齢牛指標(EYCI)価格は、1月以降下落傾向で推移し、2月20日時点では1キログラム当たり520豪セント(437円:1豪ドル=84円)であったが、2月末の一定量の降雨により、3月14日時点で同565豪セント(475円)と、短期間でかなり上昇した(図4)。

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MLAによると、1月以降、QLD州やニューサウスウェールズ州を中心に乾燥気候で推移したが、2月末の降雨を受けて牧草生育環境の回復が見込まれたことで、牧草肥育業者がもと牛導入意欲を強め、穀物肥育業者や食肉処理場よりも高い価格で肥育もと牛を購入しており、肉牛取引価格の動向に影響を及ぼしているとしている。

しかし、月末にかけて下落傾向で推移し、3月末時点では同540豪セント(454円)となった。

牛肉輸出量、増産を受けかなり増加

豪州農業・水資源省(DAWR)によると、2018年2月の牛肉輸出量は、8万5845トン(前年同月比14.7%増)と、牛肉生産量の増加によりかなり増加した(表2)。米国を除くすべての主要輸出国で前年同月を上回った。

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2017/18年度(7月〜翌6月)の2月までの累計では、68万8141トン(前年同期比12.6%増)とかなり増加した。主要輸出国別に見ると、最大の輸出先である日本向けは、輸入牛肉需要増によりかなり増加し、米国向けも、豪州の牛肉生産量の増加に伴い大幅に増加した。中国向けは、輸入牛肉需要増により、主要輸出先の中で最も増加した。一方、韓国向けは、牛肉生産量が増加した米国にシェアを奪われていることから、主要輸出先の中では唯一減少した。

(調査情報部 大塚 健太郎)


				

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