需給動向 国内

◆牛 肉◆

2月の冷蔵品輸入量、2桁増


平成30年2月の牛肉需給を見ると、生産量は2万4521トン(前年同月比0.6%増)と5カ月連続で前年同月を上回った。品種別では、和牛が1万366トン(同1.3%増)と前年同月をわずかに、交雑種が6680トン(同7.4%増)とかなりの程度上回ったものの、乳用種は7195トン(同5.2%減)と前年同月をやや下回った。

輸入量は、冷蔵品は1万9906トン(同17.7%増)と大幅に増加したものの、冷凍品が1万7244トン(同27.1%減)と前年同月を大幅に下回ったことから、全体では3万7200トン(同8.4%減)となった。

推定出回り量は、前年同月をやや下回る6万4249トン(同4.0%減)となり、推定期末在庫は前月から2744トン取り崩したものの、10万4037トン(同0.9%増)と前年同月をわずかに上回った(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。

米国産冷凍品、セーフガードの解除を見据え通関保留が進む

平成30年2月の輸入量は、米国産は増産による出荷増により、冷蔵品が1万309トン(前年同月比13.8%増)となったものの、冷凍品は主に4月から牛肉の関税の緊急措置が解除されることを見越して、通関保留が進んでいるとみられ4640トン(同54.5%減)と大幅に減少し、合計では1万4949トン(同22.4%減)となった。

一方、豪州産は、牛群再構築が進展する中で、28年度から29年度上半期にかけて出荷頭数が減少し、現地価格が高値で推移したため、昨年度から量販店や外食などで冷蔵品を中心に米国産への転換が進んだ。こうした中、2月の豪州産輸入量は、乾燥した気候によりとう汰が進み1月の出荷頭数が増加したことから、冷蔵品が8753トン(同23.1%増)、冷凍品も1万1341トン(同8.8%増)といずれも増加し、合計2万141トン(同14.6%増)となった(図1)。

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また、当機構が行っている食肉の販売動向調査結果(注)では、30年度上半期の小売業の取り扱い見通しとして、国産牛の相場高や消費者の低価格志向により約6割が輸入品を増加させると回答し、減らすと回答した者はいなかった。国別の見通しでは、米国産を中心に増加させるとの回答が多く、今後も現地生産の状況や為替の変動などの影響はあるものの、増加傾向が続く可能性がある。

輸入牛肉の取り扱い、ファミリーレストランを中心に増加見通し

牛肉消費の大半を占める外食などの消費動向を見ると、各社の新メニューの投入などの効果もあり好調に推移している。(一社)日本フードサービス協会の「外食産業市場動向調査」によると、外食全体の売上高は、2月は前年同月比3.1%増と18カ月連続で増加となった(図2)。特に、焼肉店を含むファミリーレストランやファストフードの売上増が寄与したとみられる。

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先述の食肉の販売動向調査結果(注)においても、30年度上半期の卸売業の取り扱い見通しでは、29年度下半期と同水準を見込んでおり、引き続き、輸入牛肉の外食からの引き合いは続くとみられる。また、輸入牛肉の販売見通しについては、「減少」すると回答した者はなく、中でもファミリーレストランや焼肉店で増加すると回答した割合が約5割を占めた。

注:「食肉の販売動向調査」とは、当機構が年に2回実施している卸売業者および小売業者を対象とした食肉の取り扱いや販売見通しに関するアンケート調査。(https://www.alic.go.jp/r-nyugyo/raku02_000060.html)

(畜産需給部 山神 尭基)


				

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