需給動向 国内 |
平成30年3月9日に農林水産省が公表した「鶏卵流通統計調査」によると、平成29年(1〜12月)の鶏卵生産量は260万1173トン(前年比1.5%増)と3年連続で前年を上回った(図9)。これは、近年の鶏卵相場が好調に推移していることを受け、生産者の増産意欲が高まったためと考えられる。
都道府県別生産シェアを見ると、茨城県が全体の8.9%(同1.0ポイント増)と最も高く、次いで鹿児島県が6.7%(同0.2ポイント増)、千葉県が6.6%(同0.1ポイント減)と続き、上位10道県で全体の過半を占めた(図10)。上位10道県のほとんどは、飼料工場が多い港湾地域から近く、茨城県や千葉県については、大消費地である東京からも近いことから、輸送面で優位性がある。
平成30年3月の鶏卵卸売価格(東京、M玉)は、3月中旬まで上昇基調が継続したものの、好調な生産などにより、1キログラム当たり201円(前年同月比16円安)と5カ月連続で前年同月を下回った(図11)。
年明けの鶏卵相場は、例年どおり年末年始の在庫が一斉に流通したことから、下落し、1月中旬以降は、在庫の解消に加え、恵方巻きなどのイベント需要や鍋物需要などが継続したことから、段階的に上昇した。しかし、3月下旬以降は、徐々に寒さが和らぎ、季節需要が落ち着いたことから、下げ基調となっている。
今後の見通しについて、供給面は、年始の相場安に合わせた生産調整後の産卵の本格化などにより、生産量の回復が見込まれる一方、需要面は、気温の上昇に伴い、おでんやすき焼きなどの季節需要の減退が見込まれる。
(畜産需給部 河村 侑紀)