需給動向 海外

◆アルゼンチン◆

2017年の乳製品輸出は大幅減


主産地では、洪水により2年連続で生乳生産が減少

米国農務省海外調査局(USDA/FAS)によると、2017年のアルゼンチンの生乳生産量は、前年比1.0%減の1009万トンとなった(図25)。主要酪農生産州(ブエノスアイレス州、コルドバ州、サンタフェ州、エントレリオス州)において、2016年上半期と2017年上半期に2年連続で洪水が発生した影響で、2017年の生乳生産量は減少した。この洪水の影響は、一部の地域の主要道路を長期間冠水させ、その結果輸送インフラがまひし、集乳に支障が生じた。下半期には回復傾向に向かったものの、上半期の減産分を埋め合わせるまでには至らなかった。

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乳製品輸出量は前年比24.7%減

アルゼンチン国家統計局(INDEC)によると、2017年の主要乳製品の輸出量は、生乳の減産、乳製品の国内需要増などにより、前年比24.7%減と前年の水準を大きく下回った(表13)。主力輸出品目である全粉乳は、2015年まで最大の輸出先であったベネズエラ向けの落ち込み(前年比85.7%減)の影響により、前年比35.6%減と大幅に減少した他、その他の乳製品も、前年の水準を大きく下回った。

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2018年の生乳生産は増加見込み

USDAによると、2018年のアルゼンチンの生乳生産量は、前年比6.0%増の1070万トンと見込まれている。2017年下半期以降は、洪水の影響から回復しており、政府系の第三者機関である乳業チェーン観測所(OCLA)によると、生乳生産量は、2018年1月に前年同月比13.0%増、2月に同14.0%増と増加傾向で推移しており、今後のさらなる増産が見込まれている。

ただし、増産の懸念材料としては、飼料費高による生産コスト増がある。ブエノスアイレス州北部、コルドバ州、サンタフェ州南部などを中心に、昨年11月以降干ばつが続いている影響で、牧草生育の悪化に加え、飼料穀物の生産にも影響が出ている。USDAによると、2017/18年度(3月〜翌2月)におけるトウモロコシの生産量は、前年度比19.5%減と予想されており、トウモロコシ価格が上昇した場合生乳生産に影響を及ぼす可能性がある。

(調査情報部 佐藤 宏樹)


				

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