需給動向 海外 |
◆豪州◆
生乳生産は堅調に推移
デーリー・オーストラリア(DA)によると、2018年1月の生乳生産量は79万3900キロリットル(81万7700トン相当、前年同月比3.9%増)と4カ月連続で前年同月の水準を上回った。2017/18年度(7月〜翌6月)1月までの累計でも、600万7900キロリットル(618万8100トン相当、前年同期比3.1%増)と前年同期の水準をやや上回った(図20)。
1月の生乳生産量を地域別に見ると、酪農主産地のビクトリア(VIC)州(50万7300キロリットル(52万2500トン相当、前年同月比5.9%増))やタスマニア州(8万9700キロリットル(9万2400トン相当、同5.7%増))など、降雨に恵まれた南東部は、前年度の干ばつからの回復もあり好調だった。
専門家によると、高い生産者支払乳価と、比較的安価な飼料価格を背景に、生乳生産量は増加基調が続いている。しかし、VIC州南西部で3月下旬に山火事が発生し、酪農地を含む数千ヘクタールが焼失するなどの被害が出ていることから、3〜4月は減少する可能性があるとしている。
DAが発表した2018年1月の主要乳製品4品目の輸出量は、全粉乳を除きいずれも大幅に減少した。チーズは、前月まで増加していたが減少となった。一方、全粉乳は前年同月からかなりの程度増加した(表10、図21)。
輸出先国別に見ると、脱脂粉乳は、ベトナムやマレーシアなど東南アジア向けが減少した。全粉乳は、スリランカ向けが減少し、最大の輸出先である中国向けは横ばいであったが、タイやアルジェリア向けが大幅に増加したことで前年同月の水準を上回った。また、バターは、シンガポール向けは増加したが、タイやマレーシア向けが減少した。チーズは、中国向けの大幅減を受け、減少した。なお、主要乳製品の輸出量は減少傾向にあるが、輸出額については、国際市況の回復もあり、前年同月の水準を上回って推移している。
DAが2月末に発表した「Dairy Situation and Outlook」によると、2017/18年度の生乳生産量は、前年度比3%程度の増加が見込まれている。
この要因としてDAは、天候と乳価の回復の2点を挙げている。天候については、春から初夏(10〜12月)にかけて十分な降雨があったことで、牧草の生育環境の改善に加え、ダムの貯水率の回復などが好材料となった。また、乳価については、ニュージーランドの生乳生産量の減少により国際市況が堅調に推移していることや、国内の乳製品需要も安定的に推移していることなどが好材料となった。
一方で今後、北半球の生乳生産がピークを迎える中、主産地である米国やEUの生産増が見込まれていることから、国際市況が下落するリスクについても併せて言及している。
(調査情報部 竹谷 亮佑)