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乳価は3カ月連続で前月から低下
欧州委員会によると、2018年1月の生乳出荷量(EU28カ国)は、前年同月比4.2%増の1299万トンと11カ月連続の増産となった(図17)。また、1月の出荷量としては過去最大となった。
加盟国別に見ると、主要国は軒並み前年同月の水準を上回っており、2016年の乳価低迷による搾乳牛の淘汰などにより前年同月に減産となっていたドイツ(同5.2%増)やフランス(同3.9%増)のほか、イタリア(同10.1%増)、スペイン(同5.3%増)、ポーランド(4.3%増)も高い増加率となった(表7)。
欧州委員会によると、2018年2月の平均生乳取引価格(EU28カ国)は、16カ月連続で前年の水準を上回り、前年同月比5.1%高の100キログラム当たり35.07ユーロ(1キログラム当たり46.29円:1ユーロ=132円)となった(図18)。同価格は、生乳出荷量が増産傾向にある中、2017年6月から11月まで一貫して前月の水準を上回って推移していたが、12月以降は3カ月連続で前月から低下した。
欧州委員会が公表している主要乳製品の平均卸売価格(EU28カ国)を見ると、脱脂粉乳については、公的在庫が2018年3月18日時点で37万6千トンと引き続き膨大な水準となる中、同年3月19日の週の平均卸売価格(EU28カ国)は、100キログラム当たり131.70ユーロ(1万7384円)と過去最安値を更新し、昨年9月11日の週以降、公的買入価格(同169.80ユーロ(2万2414円))を下回る水準が続いている(図19)。
2018年1月の脱脂粉乳の域外向け輸出量について、インドネシアや中国向けなどの主要輸出先向けが前年同月の水準を大幅に下回ったものの、最大の輸出先であるアルジェリア向けが大幅に増加したことなどから、全体では前年同月比7.3%増とかなり増加した(表8)。
欧州委員会は、3月20日に実施した脱脂粉乳公的在庫の売渡入札の結果、4127トンが落札され、売渡最低価格は100キログラム当たり105ユーロ(1万3860円)となったと公表した。今回の売渡最低価格は、これまでの入札で最低だった前回(同110ユーロ(1万4520円))を4.5%下回り、前述の公的買入価格を38.2%下回った(表9)。
今回の入札では、過去17回のうち最大となった前回に引き続き4000トンを上回る落札があったが、今後どの程度売却が進んでいくのか、次回以降の売渡入札の結果が注目される。
(調査情報部 玉井 明雄)