需給動向 海外

◆米 国◆

乳製品の生産、輸出は堅調に推移


生乳生産量は2018年も増加見込み

米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2018年3月20日に公表した「Milk Production」によると、2月の乳用経産牛飼養頭数は、前年同月比0.5%増の941万頭となった。また、同月の1頭当たり乳量は、同1.3%増の820キログラムとなった。生乳生産量は、2017年3月以降前年を上回って推移しており、同月は、同1.8%増の771万1000トンとなった(図13)。

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同月の生乳生産量を州別に見ると、最大の生産州であるカリフォルニア州は、例年に比べ降雨が適度に少なかったことから、同3.5%増の146万6000トンと2カ月連続で前年同月を上回った。次いでウィスコンシン州は、同0.1%増の105万8000トンとなった。また、南部地域は適度に乾燥し、テキサス州(第5位)は、同5.5%増と前年同月をやや上回った。

USDAは2018年の1頭当たり乳量の予測値について、増加傾向にある現状を考慮し、前年比1.4%増の1万548キログラムへ前月から上方修正した。同年の乳用経産牛飼養頭数を同0.2%増の941万5000頭、生乳生産量を同1.6%増の9933万4000トンと見込んでいる。

バター生産は4カ月連続で前年同月を上回る

USDA/NASSが2018年3月1日に公表した「Dairy Products」によると、1月のバター生産量は、前年同月比4.3%増の8万4000トンと、4カ月連続で前年を上回った(図14)。このうち、最大の生産州であるカリフォルニア州は、同4.5%増の2万4000トンと、3カ月ぶりに前年同月を上回った。

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同月のチーズ生産量は、同3.4%増の49万トンとなった。州別に見ると、第1位のウィスコンシン州および第2位のカリフォルニア州がそれぞれ同2.8%増(12万9000トン)、同2.7%増(9万8000トン)となった。また、チーズの増産に伴い、ホエイ類の生産量も増加しており、同月の乾燥ホエイおよびたんぱく質濃縮ホエイパウダー(WPC)は、それぞれ同8.5%増の4万1000トン、同10.4%増の2万トンとなった。

チーズの在庫量は高水準を維持

USDA/NASSが2018年3月22日に公表した「Cold Storage」によると、2月末のバターの在庫量は、前年同月比2.6%増の12万6000トンと、同月としては1994年以降で最高となった。

同月のチーズの在庫量は、同7.2%増の59万6000トンとなった(図15)。チーズの在庫量は、国内外からの需要は堅調であるものの、生産量の増加により、2014年11月以降前年同月を上回って推移している。

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また、前述の「Dairy Products」によると、1月末の乾燥ホエイおよびWPCの在庫量は、それぞれ同28.6%増の4万トン、同42.4%増の3万9000トンといずれも大幅に前年同月を上回った。

チーズ輸出は大幅増

USDAによると、チーズ輸出量は、世界的な経済成長などによる需要増加により、増加傾向で推移しており、1月は前年同月比18.9%増の2万7000トンとなった(図16)。輸出先別に見ると、全体の約3割を占める最大の輸出先であるメキシコは、低水準となった前年同月の反動もあり、同61.4%増の8700トンと大幅に増加した。第2位の韓国向けは同13.4%増の3700トン、第3位の日本向けは同40.2%増の2600トンとなった。

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2017年通年のチーズ輸出量は、前年比19.0%増の34万1000トンと大幅に増加した。特に、第4位の豪州向けが前年の約2倍となる3万トンとなった。また、同年のバター輸出量は、同13.6%増の2万8000トンとなった。

(調査情報部 渡邊 陽介)


				

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