需給動向 海外 |
◆カナダ◆
豚肉輸出量は過去最高を更新
カナダ統計局(Statistics Canada)が3月6日に公表した「Hog Statistics」によると、2018年1月1日現在の豚の飼養頭数は、前年比2.7%増の1432万5000頭となった(表4)。このうち、繁殖豚は同1.3%増の127万2900頭、肥育豚は同2.9%増の1305万2100頭とともに前年を上回った。比較的軽い肥育豚が増加しており、堅調な子豚および豚肉輸出により、養豚生産者の増産意欲は高い水準にあるとみられる。
また、州別に見ると、ケベック州、オンタリオ州およびマニトバ州は、同1.6%増(449万5000頭)、同3.3%増(357万3000頭)、同4.5%増(349万5000頭)と主要州でいずれも増加した。
米国農務省(USDA)によると、2017年のカナダの米国向け生体豚輸出頭数は、前年比1.0%減(559万9000頭)となった(図8)。内訳を見ると、子豚(50キログラム未満)は、前年並みの477万4000頭にとどまった。USDAはこの要因として、米国の養豚農家に増頭意欲があったものの、米国へ多くの子豚を輸出しているマニトバ州で豚流行性下痢(PED)が発生したことを挙げている。また、肥育豚は、米国内の肥育豚の増加により、同11.6%減の75万頭とかなり減少した。
USDAは2018年の米国向け生体豚輸出について、米国の豚飼養頭数の増加や為替などが抑制要因となるとしている。
2017年の豚と畜頭数は、前年比1.6%増の2159万3000頭となった(図9)。これは、飼養頭数の増加に加え、豚枝肉価格が前年を上回って推移し、パッカーの収益性が向上したことなどによるものとされている。また、平均枝肉重量(温と体)は、前年より0.7キログラム増の101.5キログラムとなった。同年の豚肉生産量は、同1.6%増の210万7000トンと見込まれる。
2017年の豚肉輸出量は、過去最高を記録した前年をわずかに上回り、前年比0.1%増の96万トンと2年連続して過去最高を記録した(図10)。輸出先国別に見ると、最大の輸出先である米国向けは、同国の豚肉増産およびカナダドル高などから、同8.4%減の29万6000トンとなった。中国向けは、同国の豚肉生産量の増加により、同12.3%減の21万トンとなった。一方、日本向けは、冷蔵品を中心に需要が堅調であったことから、同16.2%増の20万8000トンとなった。メキシコは、前年並みの7万7000トンとなった。
(調査情報部 渡邊 陽介)