需給動向 海外

◆EU◆

2017年の生産量は前年比1.0%減


ドイツ、フランスなどで減産の一方、スペイン、ポーランドで増産

欧州委員会によると、2017年12月の豚枝肉生産量(EU28カ国)は、前年同月比4.3%減の199万8130トンと4カ月ぶりに前年同月を下回った(図11)。

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この結果、2017年の累計では、前年比1.0%減となった。加盟国別に上位7カ国を見ると、ドイツ、フランス、デンマーク、イタリアなどは前年比で減少した一方、スペインとポーランドは増産となった(表5)。スペインやポーランドでは、自由貿易協定の進展等を背景に、輸出拡大を商機と捉えた投資が進展しており、今後増産に向けて進むものとみられている。

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1月の輸出量は、中国、香港向けが停滞し、前年同月割れ

2018年1月の豚肉輸出量(EU28カ国)は、前年同月比5.4%減の32万5692トンとなった(表6)。

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主要な輸出先国の動向をみると、日本向け(同17.2%増)、韓国向け(同29.1%増)、フィリピン向け(同17.0%増)、米国向け(同50.9%増)が増加したものの、輸出量の4割を占め最大の輸出先である中国向け(同22.0%減)や、香港向け(同28.8%減)が前年の水準を大きく下回り、総輸出量は前年同月の水準を下回った。中国では、増産による供給増に伴い前年から豚肉小売価格が下落しており、輸入業者は利益確保のため、EU産を含め豚肉の輸入を手控えているものとみられる。

豚価は6カ月連続で前年を下回る

欧州委員会によると、2018年2月の豚枝肉卸売価格(EU28カ国)は、前月から3.3%上昇したものの、前年同月比7.6%安の100キログラム当たり140.80ユーロ(1万8586円:1ユーロ=132円)と6カ月連続の前年割れとなった(図12)。2016年5月以来1年8カ月ぶりに100キログラム当たり140ユーロを下回った前月からは回復したものの、生産量の回復や輸出需要の低下などの影響により、豚価は前年同月を下回る水準で推移している。

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(調査情報部 佐藤 宏樹)


				

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