需給動向 国内 |
冷蔵品輸入量、5カ月連続で前年同月を上回る |
平成30年2月の豚肉需給を見ると、生産量は7万1805トン(前年同月比0.1%増)と前年同月並みとなった。輸入量は冷蔵品が3万213トン(同1.9%増)と前年同月をわずかに上回った一方で、冷凍品が3万7676トン(同3.1%減)と前年同月をやや下回ったことから、合計で6万7889トン(同0.9%減)と2カ月連続で前年同月を下回った。推定出回り量は前年同月をかなりの程度下回る13万4587トン(同7.0%減)となり、推定期末在庫は前月から5058トン積み増して、18万1816トン(同6.3%増)と前年同月をかなりの程度上回った(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。
平成30年2月の豚肉輸入量のうち、テーブルミートとして消費されることの多い冷蔵品は、3万213トン(前年同月比1.9%増)と5カ月連続で前年同月を上回った(図3)。
冷蔵品輸入量は、29年に過去最高を更新し、30年に入っても現地生産が増加傾向であることから、輸入業者にとって買い付けしやすい環境が継続していると考えられる。また、当機構が行っている食肉の販売動向調査結果(注)では、30年度上半期の小売業の輸入豚肉の取り扱い見通しとして、牛肉や国産豚肉からのシフトや消費者の低価格志向などの理由により、増加させるとの回答が多かった。国別の見通しでは、米国産およびカナダ産の取り扱いを増加させるという回答が多く、今後も引き続き冷蔵品輸入量が増加する可能性がある。
冷蔵輸入品と競合関係にある国産品の豚枝肉卸売価格(省令価格)は、平成29年については生産量が前年を下回ることが多く、堅調に推移した(図4)。
しかし、30年1月は、1キログラム当たり500円(前年同月比0.6%高)と前年同月をわずかに上回ったものの、2月以降は、在庫水準が高かったことや野菜の高騰などによる鍋向けの需要低迷もあり、前年同月を下回って推移している。3月に入っても同卸売価格(速報値)は、同434円(同13.9%安)と下落が続いている。
量販店などでは、年初までの国産の相場高を受け、相場が安定している輸入品へシフトする動きが見られていたものの、国産が相場安になったことから国産品への回帰を期待する声も聞かれる。
例年、と畜頭数が減少する6月に向けて同卸売価格は上昇する傾向にあるものの、輸入動向や高い輸入品在庫水準が今後の同卸売価格に影響していくか注目されるところである。
注:「食肉の販売動向調査」とは、当機構が年に2回実施している卸売業者および小売業者を対象とした食肉の取り扱いや販売見通しに関するアンケート調査。(https://www.alic.go.jp/r-nyugyo/raku02_000060.html)
(畜産需給部 小林 智也)