需給動向 海外

◆米 国◆

豚肉生産量は増加し、豚肉価格は下落


豚飼養頭数は引き続き増加

米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2018年3月29日に公表した「Quarterly Hogs and Pigs」によると、3月1日時点の豚飼養頭数は、生産者の収益性が良好なことなどから、前年比3.1%増の7290万8000頭となった(表3)。

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飼養頭数を用途別に見ると、繁殖豚が同1.7%増の620万頭となったほか、肥育豚も同3.3%増の6670万8000頭となり、いずれの重量カテゴリーも前年を上回った。23キログラム未満の頭数が増加していることから、と畜場への肥育豚の出荷は、9月ごろまで堅調に推移するとみられる。

2017年12月〜2018年2月の分娩母豚頭数は、前年同期比2.4%増の305万7000頭、産子数は同3.8%増の3234万1000頭、1腹当たり産子数は同1.4%増の10.58頭と、いずれも同期間の過去最高を更新した。

平均枝肉重量は上昇傾向で推移

USDA/NASSが2018年3月22日に公表した「Livestock Slaughter」によると、2月のと畜頭数は、前年同月比2.9%増の936万9000頭となった。1頭当たり平均枝肉重量(連邦政府検査ベース)は、同0.1%増の97.1キログラムとなった。これにより、生産量は、同3.6%増の93万3000トンとなった(図5)。

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USDAは、今後の平均枝肉重量について、アルゼンチンにおける飼料穀物生産量の減少により飼料穀物価格が上昇しているものの、生産者の収益性は依然として良好と見込まれることなどから、前年を上回って推移するとしている。そして、2018年の生産量は、前年比5.2%増の1220万6000トンと過去最高が見込まれている。

バラ肉の在庫量は大幅増も依然低水準

USDA/NASSが2018年3月22日に公表した「Cold Storage」によると、2月末の豚肉在庫量は、前年同月比8.3%増の27万9000トンとなった(図6)。

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このうち、バラ肉は、在庫が不足していた前年同月の約3倍となる2万1000トンとなったものの、同時点の5カ年平均(2011〜2016年)よりも27.6%低い水準にある。一方、もも肉は、同1.9%減の5万6000トンとなった。この要因については、輸出が好調で在庫が減少したものとみられている。

豚肉卸売価格は2カ月連続で前年を下回る

米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2018年3月の肥育豚価格は、前年同月比7.0%安の100ポンド当たり47.00米ドル(1キログラム当たり111円:1米ドル=107円)(速報値)となった。

また、同月の豚肉卸売価格は、同7.3%安の同74.00米ドル(同175円)となった(図7)。この要因についてUSDAは、バラ肉価格の下落を挙げている。同月のバラ肉卸売価格は、在庫の増加により、同10.5%安の同142.00米ドル(同335円)となったが、平年よりも高値である。もも肉卸売価格は、同4.2%安の同58.00米ドル(同137円)と3カ月ぶりに前年同月を下回った。

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(調査情報部 渡邊 陽介)


				

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