需給動向 海外

◆豪 州◆

雌牛と畜頭数・フィードロット飼養頭数、干ばつにより増加


成牛と畜頭数、引き続き雌牛を中心に増加

豪州統計局(ABS)によると、2018年6月の成牛と畜頭数は、68万5100頭(前年同月比4.0%増)と増加した(図5)。しかし、1頭当たり枝肉重量は、比較的重量の軽い雌牛の増加に伴い、286.7キログラム(同3.3%減)と減少したことから、同月の牛肉生産量(枝肉ベース)は、19万6388トン(同0.5%増)とわずかな増加にとどまった。

021b

と畜頭数の内訳を見ると、雄牛は31万7300頭(同6.4%減)とかなり減少した一方、雌牛は36万7900頭(同14.9%増)とかなり増加しており、今年1月以降の乾燥した天候により牧草の生育が悪く、牛群縮小のために繁殖雌牛を中心に淘汰したとみられる。中でも、主産地であり、干ばつが深刻化しているクイーンズランド(QLD)州の雌牛と畜頭数は、前年同月比24.4%増、ニューサウスウェールズ(NSW)州は同21.7%増と、いずれも大幅に増加した。

この結果、2017/18年度(7月〜翌6月)の成牛と畜頭数は、747万9200頭(前年度比7.1%増)とかなり増加した。また、牛肉生産量は、と畜頭数の増加に加え、年度前半の穀物肥育牛のと畜に占める割合の増加により1頭当たり枝肉重量が増加したことで、221万9100トン(同8.3%増)とかなり増加した。

フィードロット飼養頭数、過去最高を記録

豪州フィードロット協会(ALFA)と豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)は8月15日、四半期ごとに共同で実施している全国フィードロット飼養頭数調査の結果(2018年4〜6月期)を公表した。これによると、2018年6月末のフィードロット飼養頭数は、112万459頭(前年比2.9%増、前回比9.2%増)と、前回(2018年3月末)からかなり増加し、過去最高を記録した(図6)。

022a

州別に見ると、前回比では、西オーストラリア州を除き、全ての州で増加しており、QLD州は前回比12.1%増、ビクトリア(VIC)州は同10.3%増、NSW州は同9.6%増と、東部の3州はいずれもかなり増加した。

ALFAは、増加の要因として、QLD州やNSW州では、広い範囲で干ばつが発生しており、牧草の生育が悪いことから、安定的な増体が見込めるフィードロットへ肥育もと牛を仕向ける動きが増加したためとしている。また、天候に関わらず、一定の品質で安定的に供給できるフィードロットへの需要は強いとしている。

2018年牛と畜頭数、干ばつによりかなり増加見込み

MLAは8月3日、「Industry projections 2018 July update」において、四半期に1度の牛肉生産量などの見通しを公表した(表5)。2018年の見通しは次のとおり。

023a

と畜頭数は、主要肉用牛生産地域で干ばつが深刻化しており、雌牛を中心に淘汰が増加していることから、前回予測(2018年4月)から32万5000頭上方修正し、780万頭(前年比9.0%増)とかなり増加すると見込んでいる。2017年は、牛群再構築により飼養頭数が増加したが、干ばつにより牛群を縮小する動きが強くなっており、2018年の肉用牛飼養頭数は、2745万頭(同1.8%減)と減少を見込んでいる。

牛肉生産量は、1頭当たり枝肉重量では、雌牛のと畜頭数の増加により292キログラム(同1.9%減)とわずかに減少するものの、227万8000トン(同6.9%増)とかなり増加すると見込んでいる。

牛肉輸出量は、日本、韓国および中国向け輸出が好調なことから、111万3000トン(同9.7%増)と、かなり増加すると見込んでいる。日本向けは、牛肉需要の増加により好調に推移している。韓国向けは、穀物肥育牛肉の輸出が好調な一方、ここ数年間は韓国と豪州間の自由貿易協定に基づくセーフガードの発動により輸出量が抑制されており、2018年も6月末時点でセーフガード発動数量(1〜12月の間で16万7327トン)の70%近くが輸出済みであることから、今年もセーフガードの発動が懸念されている。中国向けは、1〜6月までの同国向け輸出量が、前年同期比46%増と大幅に増加しており、引き続き堅調な需要が期待できる一方、ブラジルやウルグアイなど南米諸国のシェア拡大が不安要素となっている。

(調査情報部 大塚 健太郎)


				

元のページに戻る