需給動向 海外

◆カナダ◆

牛群縮小が進む一方、牛肉の生産と輸出は堅調


総飼養頭数は約30年ぶりの低水準

カナダ統計局(Statistics Canada)が8月23日に公表した牛の飼養動向調査によると、
2018年7月1日現在の牛飼養頭数は1243万5000頭(前年比0.8%減)となり、1989年以来で最も少ない頭数となった(図3)。これは過去最高であった2005年を26.3%下回る水準である。

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牛飼養頭数を区分別にみると、肉用経産牛は372万6000頭(前年比1.2%減)、肉用後継牛は67万頭(同2.6%減)といずれも前年を下回り、子牛も399万4000頭(前年比1.3%減)と1990年以来28年ぶりに400万頭を下回った(表2)。これらのことから、今後の肉用牛生産も低調に推移するとみられ、業界紙の中には総飼養頭数が来年も減少トレンドで推移するとの見方もある。

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フィードロット飼養頭数は過去10年で最高の水準

カナダ肉用牛生産者協会の畜産物市況分析部門であるCanFaxによると、フィードロット導入頭数は2018年5月以降3カ月連続で前年同月を上回っており、7月は6万3683頭(前年同月比35.0%増)となった。また、8月1日時点のフィードロット飼養頭数は75万1557頭と前年を12.0%上回り、同時点としては2008年以降で最大となった(図4)。この一因として、米国と比べ競争力の高いカナダのフィードロット産業が米国産肥育もと牛の導入を増加させていることなどがあるとみられる。

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肥育もと牛供給減も、と畜頭数は堅調

カナダ統計局が8月23日に公表した生体牛需給表によると、2018年上半期(1〜6月)の生体牛輸入頭数は、前年同期の2倍を上回る7万2000頭となった(表3)。また、生体牛輸出頭数は34万2000頭(前年同期比0.9%増)と前年をわずかに上回ったものの、過去5年平均を30.2%下回る低水準であった。これらの背景には、産子数が315万4000頭(同2.4%減)と前年同期を下回っており、牛群の縮小に伴ってカナダ国内で肥育もと牛供給頭数が限定的になっていることがあるとみられる。

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一方、パッカーの収益は好調に推移していることに加え、アルバータ州で2017年に再稼働したと畜場の稼働率が上昇していることなどから、と畜頭数は前年同期を6.1%上回る166万6000頭となった。こうしたことからCanFaxは2018年の牛肉生産量も堅調に推移し、3年連続で前年を上回ると見込んでいる。

2018年上半期牛肉輸出は前年同期比5.6%増

カナダ統計局によると、2018年1〜6月の牛肉輸出量は堅調な生産量を背景に前年同期比5.6%増の18万5753トンとなった(表4)。輸出先別にみると、最大の輸出先である米国向けは堅調な牛肉需要により前年同期比8.3%増の13万9421トンとなった。また、日本向けは、高値で推移する米国産牛肉の代替需要などから同9.3%増の1万3922トンとなった。

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(調査情報部 野田 圭介)


				

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