需給動向 国内

◆牛 肉◆

平成29年度の牛肉自給率、前年度から2ポイント減の36%


平成30年7月の牛肉需給を見ると、生産量は3万58トン(前年同月比5.0%増)と10カ月連続で前年同月を上回った。品種別では、乳用種が7644トン(同0.1%減)と前年同月並みとなったものの、和牛が1万4130トン(同6.7%増)と11カ月連続で、交雑種は酪農家での黒毛和種交配率が上昇していたことにより7943トン(同7.6%増)と25カ月連続でいずれも前年同月を上回った。

輸入量は6万5501トン(同16.2%増)と3カ月ぶりに前年同月を上回った。このうち、冷蔵品が21カ月連続で前年同月を上回る2万5939トン(同17.8%増)となった。冷凍品は関税緊急措置(セーフガード)の発動回避のため、先月まで輸入業者が通関数量を絞っていた影響もあり、前月から約1万5000トン増加し3万9513トン(同15.1%増)と3カ月ぶりに前年同月を上回った。

推定出回り量は、前年同月をかなりの程度上回る8万6244トン(同8.5%増)となり、推定期末在庫は前月から9034トン積み増し、11万5645トン(同1.7%増)と5カ月ぶりに前年同月を上回った(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。

国民1人・1年当たりの供給純食料(精肉ベース)、前年度より増加

平成29年度の牛肉自給率(枝肉換算ベース)は、国内生産量が47万1000トン(前年度比1.7%増)とわずかに増加したものの、輸入量も81万7000トン(同8.6%増)とかなりの程度増加し、国内消費仕向量が129万1000トン(同4.9%増)となった結果、前年度から2ポイント低下して36%となった(図1)。

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牛肉自給率は、昭和50年代まではおおむね70%を上回って推移していたものの、平成3年度の輸入自由化により輸入量が大幅に増加した結果、7年度には40%を割り込んだ。その後、米国における牛海綿状脳症(以下「BSE」という)の発生により、15年度に米国産牛肉の輸入停止措置がとられたことで輸入量が急減し、44%まで上昇した。以降、18年8月には米国産の輸入停止措置が解除され、25年2月には月齢制限緩和措置がとられたものの、BSE発生前の水準までの輸入量の回復が見られなかったこともあり、40%台前半で推移していた。しかし、国内生産量が横ばいで推移する中、輸入量の増加を受けて28年度以降2年連続で低下し30%台後半で推移している。

なお、国民1人・1年当たり供給純食料(精肉換算ベース)は、前年度よりも0.3キログラム増え、6.3キログラム(同5.1%増)となった。また、飼料自給率を考慮した牛肉自給率は、輸入飼料依存度が高いことから、6年度以降は10%前後で推移している。29年度は純国内産飼料自給率が前年度から26%と減少したことから、前年度から1ポイント低下して10%となった。

(畜産需給部 小林 智也)


				

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