需給動向 海外

◆米 国◆

フィードロット飼養頭数は過去最高


フィードロットの導入意欲は依然高い

米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2018年8月24日に公表した「Cattle on Feed」によると、7月のフィードロット導入頭数は、前年同月比7.9%増の174万2000頭と、3カ月連続で前年同月を上回った(表1)。

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重量カテゴリー別に見ると、800ポンド以上(363キログラム以上)は前年同月を1.3%下回ったものの、600ポンド未満(272キログラム未満)、600〜699ポンド(272〜317キログラム)、700〜799ポンド(318〜362キログラム)は、それぞれ前年同月比13.9%増、同23.4%増、同7.8%増となり、体重の軽い肥育もと牛の導入が進んだ。この要因として、干ばつにより草地の状態が悪いテキサス州やカンザス州でフィードロットへの導入が進んだことや、繁殖農家が牛群拡大意欲の鈍化により保留する雌牛を減らしていることなどが挙げられる。

同月のフィードロットからの出荷頭数は、フィードロット飼養頭数が増加していることに加え、堅調な収益性を背景に食肉パッカー(と畜加工処理業者)からの需要が高かったことから、同5.0%増の187万3000頭となった。

これらにより、8月1日時点のフィードロット飼養頭数は、同4.6%増の1109万3000頭と、同月としては過去最高となった。

肥育もと牛価格は上昇

米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2018年8月の肥育もと牛価格(速報値)は、前年同月比6.3%高の100ポンド当たり165米ドル(1キログラム当たり407円:1米ドル=112円)と2カ月連続で前年を上回った(図1)。飼料穀物価格が安定して推移していることや2019年にかけて肥育牛価格が上昇するとの期待感から、フィードロットの導入意欲が高いとみられている。

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一方、同月の肥育牛価格(速報値)は、同0.9%安の同112米ドル(同277円)と、フィードロット飼養頭数の増加を背景に6カ月連続で前年を下回った。肥育牛価格が下落した一方、牛肉卸売価格が堅調に推移していることから、食肉パッカーの収益性は良好とみられている。しかし、2〜3カ月前と比較すると、肥育牛価格の下落幅が縮小していることから、肥育牛の買付けを抑え始める食肉パッカーもあるとされている。

また、同月の牛肉卸売価格(速報値)は、国内外からの堅調な牛肉需要により、同3.3%高の同204米ドル(同504円)となった。

メキシコからの肥育もと牛の輸入頭数が増加

USDA/ERSによると、2018年6月の生体牛輸入頭数は、前年同月比21.5%増の15万5000頭となった(図2)。このうち、主にフィードロットへ導入される400〜700ポンド(181〜318キログラム)の輸入頭数は、同28.1%増の6万4000頭と大幅に増加し、メキシコが97%を占めた。一方、カナダからの生体牛輸入頭数は、フィードロット向けおよびと畜加工施設向けともに前年同月を下回った。

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(調査情報部 渡辺 陽介)


				

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