需給動向 海外

◆ブラジル◆

ストライキとEU向け輸出停止の影響が顕著に


1〜6月の輸出量は前年同期比10.7%減

ブラジル開発商工省貿易局(SECEX)によると、2018年1〜6月の冷蔵・冷凍鶏肉輸出量は、前年同期比10.7%減の171万7778トン(製品重量ベース)となった(表9)。これは、5月21日〜31日に発生したトラック運転手によるストライキの影響で、輸送が滞った結果、6月の輸出量が、前年同月比35.9%減の22万223トンに留まったことが大きな要因と考えられる。

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また、低関税割当のある加塩鶏肉が主流であるEU向けも、ストライキの影響に加え、EUへ輸出された一部の鶏肉からサルモネラ菌が検出されたことなどにより、ブラジル国内20カ所の食鳥処理場などからの輸出が禁止されたため、前年同月と比較して57.2%減と大幅に減少している(図10)。これらの状況を受け、一部大手パッカーでは、処理場を一定期間閉鎖するなど、生産調整に追われており、輸出量も前年を下回る見込みという。

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徐々に明らかになるストライキの影響

5月21日から10日間にわたり、23州の主要幹線道路が、トラック運転手によるストライキの影響で通行不可能となった。現地報道によると、輸送が滞り、成鶏が約7000羽死亡したほか、ストライキの間に出荷が滞ったことから、出荷スケジュールが乱れたため、通常よりも大きな成鶏が市場に出回り、相場の下落につながった。その結果、日本向けのもも肉に関しても、ストライキ収束から2カ月程度は、もも肉のサイズにばらつきが生じるなどの影響があったとされている。ブラジル動物性タンパク質協会(ABPA)によると、今回のストライキにより、畜産業界全体で31億5000万レアル(約850億5000万円)の損失が出たとしている。

2018年の生産量および輸出量はともに減少見通し

ABPAは8月23日、2018年の鶏肉の生産・輸出見通しを発表した。これによると、2017年12月に発表した当初予測から、ともに減少予測となった。2018年当初は2〜4%の生産量の増加を見込んでいたが、ふ化羽数が前年比3〜5%減と見込まれていることから、生産量は同1〜2%減の1300万トンの予測となった。輸出量は、5月に発生したストライキと、同月以降一部食鳥処理工場からのEU向け輸出が禁止されたことなどから、同2〜3%減の約420万トンと見込まれている。また、米国農務省(USDA)も、2018年の生産量を同0.5%減の1355万トン、輸出量を同4.2%減の368万5000トンと見込んでいることから、ともに減少が確実視されている。

(調査情報部 佐藤 宏樹)


				

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