需給動向 国内 |
平成30年7月の鶏肉需給を見ると、生産量は12万8100トン(前年同月比2.2%増)と前年同月を15カ月連続で上回った。また、ストライキによる交通網のまひにより6月の輸入量が大幅に減少していたブラジル産鶏肉は、現地で止められていた在庫が上乗せされた影響で3万2071トン(同19.5%増)と前年同月を大幅に上回った。これにより輸入量は4万5671トン(同12.1%増)と前年同月をかなり大きく上回り、推定出回り量は17万1856トン(同1.4%増)と前年同月をわずかに上回ったことから、推定期末在庫は、16万7950トン(同13.7%増)と前年同月をかなり大きく上回った。(財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。
一方、平成30年8月の鶏肉相場を見ると、供給量と在庫量の増加を背景に、もも肉は1キログラム当たり560円、むね肉は1キログラム当たり275円と前年同月を下回って推移している(図4)。
今後は、年末にかけて最需要期に入っていくことから、在庫水準の動向が注目される。
平成29年度の鶏肉自給率(骨付肉換算ベース)は、鶏肉国内生産量が157万5000トン(前年度比1.9%増)、輸入量が90万5000トン(同7.4%増)、国内消費仕向量が244万8000トン(同3.3%増)といずれも過去最高となり、国内の市場規模は拡大しているものの、前年度から1ポイント低下して64%となった(図5)。また、消費量を表す鶏肉の国民1人・1年当たり供給純食料(正肉換算ベース)は、牛肉、豚肉を上回る13.4キログラム(同3.5%増)となり、過去最高となっている。
鶏肉の自給率は、29年度は過去最低の水準となったが、牛肉や豚肉と比べて高い水準で推移している。これは、生産現場でのインテグレーション化が進み、国内で安定した生産を行いやすく輸入品に対して比較的価格競争力を持っていることが影響している。近年、国民の健康志向が高まる中、サラダチキンの需要が急拡大したことなどもあり、国内生産量は増加したものの、高水準の輸入量が継続したことから、自給率は前年度を下回ったものと思われる。
また、飼料自給率を考慮した鶏肉の自給率は8%となっている。これは、養鶏農家が使用している鶏用濃厚飼料の大部分は輸入原料によるものであることが要因と考えられる。
(畜産需給部 岩井 椿)