需給動向 海外

◆米 国◆

生産、輸出が好調な中、新たな輸出市場を獲得


生産量は引き続き高水準で推移する見込み

米国農務省経済調査局(USDA/ERS)によると、2018年1〜6月の鶏肉生産量は955万5000トン(可食処理ベース)となり、前年同期を2.1%上回った。米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)によると、雌種鶏飼養羽数も例年を上回る水準で推移しており、2018年7月1日現在、5837万3000羽(前年同月比2.2%増)となった(図9)。また、6月にふ化した雌ひなのうち933万羽(同12.9%増)が種鶏更新用に仕向けられるとの見通しから、今後の種鶏1羽当たり生産量は、若い種鶏の増加に伴って向上すると見込まれている。加えて、トウモロコシや大豆かすの価格も低調に推移するとの見通しから、1羽当たり生体重も増加傾向で推移するとしており、USDAは今後の鶏肉生産量について、2018年は1932万9800トン(前年比2.3%増)、2019年は1969万5000トン(同1.9%増)と見込んでいる。

025c

2018年上半期輸出量は前年同期比2.0%増

USDA/ERSによれば、2018年1~6月のブロイラー輸出量は、前年同期を2.0%上回る154万6461トンとなった(表8)。主要輸出先別にみると、米国産ブロイラーに対する需要が堅調な台湾やベトナムは、前年同期を大幅に上回った。最大輸出先であるメキシコは前年同期比2.2%増の30万4866トンとなった。USDAは、米国産豚肉に追加関税を課したメキシコでは鶏肉への代替需要が増加するとして、同国向け輸出が短期的に堅調に推移すると見込んでいる。

026a

なお、6月の南アフリカ共和国向け輸出は前年同月の2倍超となった。同国は、最大輸入先であるブラジルの鶏肉輸出がストライキの影響を受けて滞ったため、米国産の輸入量を増加させて補ったとみられる。したがって、この動向は一時的に過ぎないと考えられる。

モロッコ向け輸出が解禁

USDAは8月7日、モロッコ政府が米国産家きん肉および家きん肉製品の輸入を解禁することに合意したと発表した。モロッコは米国との間で発効している自由貿易協定に基づき、米国産鶏肉(部分肉)に対して6400トンの無関税枠を設けるとみられる。これは毎年200トンずつ増加され、将来的に無制限になるとされる。アメリカ家きん鶏卵輸出協会(USAPEEC)や全米鶏肉協議会(NCC)などの業界団体は、本件を歓迎する旨のプレスリリースを発出しており、今後の成長に期待を寄せている。

(調査情報部 野田 圭介)


				

元のページに戻る