需給動向 国内 |
平成30年8月の鶏卵卸売価格(東京、M玉)を見ると、前月比1円安の1キログラム当たり172円(前年同月比10円安)となった(図8)。
鶏卵相場は近年、好調な生産を背景に10カ月連続で前年同月を下回って推移していたが、4月には生産調整が行われたことから7月に上向きに転じた。
例年、鶏卵相場は春から夏場の気温の上昇に伴って低下し、例年8月ごろに底を迎えるが、本年度は不需要期においても急激に価格が低下することなく推移した。今後について、供給面では気温の低下に伴い、卵重、産卵率の回復が見込まれるものの、需要面では冬場にかけて最需要期に入っていくことから、例年どおり相場は徐々に上昇に向かうとの声が多い。
平成29年度の鶏卵自給率(殻付換算ベース)は、国内生産量が260万1000トン(前年度比1.7%増)、輸入量が11万4000トン(同20.0%増)、国内消費仕向量が271万トン(同2.3%増)となった結果、前年度より1ポイント減少し96%となった。また、国民1人・1年当たり供給純食料(重量ベース(付着卵白および殻を除く))は17.3キログラム(同2.5%増)となった(図9)。
昭和60年度と比較して畜産物の自給率(重量ベース)が大きく低下している中、鶏卵自給率は、41年度まで100%(完全自給型)を越えていたものの、その後、半世紀にわたって90%台後半の水準を維持している。
この自給率の高さは、日本における生食文化を反映し、諸外国に比べ短い賞味期限が設定されていることに加え、卵の殻が割れやすく、長距離輸送に適さないこと、さらに加工・業務用として用いられる乾燥卵、液卵においても、輸入品に対して国産品がある程度価格競争力を有することが大きいと思われる。
なお、飼料自給率を考慮した鶏卵自給率は、約40年間にわたって10%台前半で推移しており、29年度は前年度より1ポイント減少し12%となった。
(畜産需給部 岩井 椿)