需給動向 海外

◆豪州◆

2017/18年度の生乳生産量は、前年度比3.1%増


6月の生乳生産量は13カ月ぶりに前年同月を下回る

デーリー・オーストラリア(DA)によると、2018年6月の生乳生産量は、63万9100キロリットル(65万8300トン相当、前年同月比1.4%減)と13カ月ぶりに前年同月を下回った(図15)。

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今年度の生乳生産は、酪農地帯であるビクトリア(VIC)州などの南東部の天候がおおむね順調であったことや、バターやチーズなどの乳製品の国際価格が高値であったことから、昨年10月には前年同月比7.4%増となるなど好調に推移してきた。しかしながら、その後、東部のクイーンズランド(QLD)州やニューサウスウェールズ(NSW)州などの干ばつ被害が拡大し、牧草の供給状況が悪化するとともに生産量の伸び率は低下することとなった。

この結果、2017/18年度通年(7月〜翌6月)の生乳生産量は、前年度比3.1%増の929万2500キロリットル(957万1300トン相当)と3年ぶりに増産となった。

最大生産州のビクトリア州は、前年度比3.0%増

2017/18年度の生乳生産量を州別に見ると、主産地のVIC州が前年度比3.0%増の594万6300キロリットル(612万4700トン相当)で、豪州全体の生産量の64.0%のシェアを占めた。続いて、NSW州が、同0.9%増の113万1500キロリットル(116万5400トン相当)で12.2%のシェアを占めた。天候に恵まれたタスマニア州は、同9.3%増の91万3200キロリットル(94万600トン相当)で9.8%のシェアを占めた。一方、干ばつにより牧草の生育が悪化したQLD州は、同6.3%減の39万2100キロリットル(40万3900トン相当)で、シェアも4.2%に低下した(表11)。

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近年の生乳生産量は、ほぼ横ばいで推移

豪州の生乳生産は気象条件と乳製品の輸出環境に左右されるが、過去の生産動向を見ると、2001/02年度には1127万1000キロリットル(1160万9100トン相当)とピークに達した。しかしながら、2006/07年度以降、1000万キロリットルを割り込み、最近10年間で見ると、その年度の気象条件などにより増減を繰り返しつつ、ほぼ横ばいで推移している(図16)。

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2017/18年度の乳製品輸出量は、バター類を除きほぼ前年度並み

DAが発表した2018年6月の主要乳製品4品目の輸出量については、生乳生産減などの影響からチーズを除き、前年同月比で2桁減となった。

2017/18年度通年の輸出量で見ると、バター類を除き、ほぼ前年度並みで推移した。バター類は国際価格が高値で推移する中、輸出相手先からの引き合いが弱まったため、前年度比26.1%減と大幅な減少となった(表12、図17)。

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乳製品国際価格、バターは前回比8.5%安で続落

2018年8月21日に開催された、乳製品価格の指標とされるグローバルデーリートレード(GDT:フォンテラ社主催の電子オークション、月2回開催)の1トン当たり平均取引価格は、以下の通りとなった(表13、図18)。

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脱脂粉乳および全粉乳は、前回よりもわずかに値を下げ、それぞれ前回比1.1%安の1トン当たり1951米ドル(21万9000円)、同2.5%安の同2883米ドル(32万3000円)となった。

また、バターも前回比8.5%安、前年比23.4%安の同4392米ドル(49万2000円)と続落し、ここ3カ月間で同1400米ドル(15万6800円)も値を下げた。チーズも前回比4.9%安、前年比13.0%安の同3484米ドル(39万円)となった(表13)。

このように、全般的に弱含みの取引結果となったのは、ニュージーランドの生乳生産の回復が鮮明になったことに加え、その他の主要国の生乳生産がおおむね順調であることを反映したものとされている。さらに、バターについては、フォンテラ社が、今後1年間のGDTのバター取引数量を12%増量させたことも影響したとされている。

(調査情報部 石橋 隆)


				

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