需給動向 海外

◆EU◆

増産傾向の中、豚価は前年水準を下回って推移


5月の豚肉生産量は前年同月比増

欧州委員会によると、2018年5月の豚肉生産量(EU28カ国)は、前年同月を3.5%上回る206万8660トンとなった(図7)。と畜頭数は、前年同月比2.0%増の2215万頭、1頭当たり枝肉重量は、同1.4%増の93.4キログラムであった。

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5月の主要生産国の豚肉生産量を見ると、デンマーク(前年同月比51.9%増)、ポーランド(同6.9%増)、スペイン(同6.8%増)では増産となり、ドイツ(同7.1%減)、イタリア(同2.0%減)、フランス(同1.0%減)、オランダ(同0.2%減)では減産となった(表6)。

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なお、同年1〜5月の豚肉生産量の合計は、1021万5110トン(前年同期比5.1%増)となっている。主要生産国別に見ると、増加率が最も大きいのはデンマークで、同15.1%増となった。デンマーク統計局によると、7月1日時点のデンマークの豚飼養頭数は、2008年以降最大の1287万8000頭(前年同日比3.3%増)となっている。

7月の豚価は需要の不振により前年同月を下回る

欧州委員会によると、2018年7月の豚枝肉卸売価格(EU28カ国)は、前年同月比16.2%安の100キログラム当たり144.78ユーロ(1万8966円:1ユーロ=131円)となり、11カ月連続で前年の水準を下回って推移している。価格の低迷は、豚肉生産量が前年の水準を上回る中、域内需要の不振と輸出が伸びていないことによるものとみられている。豚肉需要は、夏の休暇シーズンに伸びると見込まれていたものの、欧州の各国が熱波に見舞われ、域内での需要が減退した。

しかしながら、同価格は、8月6日の週に前週比1.6%高の同145.65ユーロ(1万9080円)、翌週には同2.8%高の同149.77ユーロ(1万9620円)と上昇に転じた(図8)。現地報道によると、欧州の多くの地域で気温が下がったことと、夏季休暇が終わり食肉処理工場がフル稼働で再開したもののと畜頭数が通常よりも少なく、また重量も軽いことによるものとみられる。

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1〜6月の豚肉輸出量は前年同期をわずかに上回る

2018年1〜6月の豚肉(生鮮・冷蔵、冷凍)輸出量(EU28カ国)の合計は、前年同期をわずかに上回る105万3935トン(前年同期比0.5%増)となった(表7)。主な輸出先国の動向をみると、中国向け(同4.2%減)と香港向け(同40.5%減)が減少し、米国向け(同21.0%増)、韓国向け(同16.4%増)、日本向け(同8.7%増)は増加した。

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(調査情報部 前田 絵梨)


				

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