調査・報告   畜産の情報 2018年10月号


平成29年度鶏肉調製品の消費実態調査の結果について

畜産需給部 需給業務課



【要約】

 サラダチキンの販売金額は平成25年以降、増加傾向で推移している。25年時点で27%であったスーパーマーケットでの販売店率は、29年時点では97%まで上昇した。また、消費者の簡便化志向が高まる中、サラダチキンの簡便性などが高く評価され、今後の購入意欲についても、全ての階層(家族形態×年代×性別)で高い結果となったことから、今後も鶏肉需給に一定程度の影響を与えていくものと思われる。

1 はじめに

近年の鶏肉調製品の需給動向を見ると、消費者の簡便化志向などにより、鶏肉調製品を用いた商品(弁当、惣菜、ファストフードなど)が増えていることから、鶏肉の加工品仕向肉量や鶏肉調製品の輸入量も増加しており、鶏肉需給に与える影響が年々大きくなっている(図1、図2)。

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その中でも、特にサラダチキン(注)は消費者の健康志向も相まって市場が急成長しており、鶏むね肉卸売価格の近年の堅調な推移の一因とされている。

そこで当機構では、鶏肉需給動向の分析に当たってサラダチキンに対する消費者の行動や意識を把握することを目的に、小売店のPOSデータ分析とインターネットを利用した消費者アンケートを実施し、サラダチキンの消費実態を調査した。本稿では、本調査結果の概要について報告する。

注:サラダチキンとは、主に蒸した鶏むね肉を真空パックにした商品などをいう。

2 POS調査

(1)調査概要

POS調査は、株式会社KSP−SPがPOSデータを収集している全国のスーパーマーケット(1000店舗以上)を調査対象店舗としたものであり、調査対象期間は、平成25〜29年の5年間とした。また、調査対象商品は、商品名称に「サラダチキン」を含む商品とし、サラダチキンが具材のひとつとして用いられていると判断した商品は対象から除外した。なお、原産国については、「国産」「タイ産」「その他」の3分類とし、その他には、原産国が複数の商品(仕入価格の変動などで原産国を適宜変更しているもの)も含まれている。

(2)結果概要

サラダチキンの千人当たりの販売金額を見ると、年々上昇傾向で推移しており、平成29年5月以降は600円以上を維持している。また、毎年春から夏にかけてピークを迎える傾向がある。これは、夏場は火を使った調理を避けたり、調理の手間を省こうとする動きが見られることに加え、薄着になる機会が多く、消費者のダイエット志向が高まることから、簡便性や低カロリーを売りとするサラダチキンの需要が増加することも一因と思われる(図3)。

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販売店率を見ると、25年〜27年の春頃までは約20%程度とほぼ横ばいで推移していたが、27年の夏以降、3年連続で需要期とされる春から夏にかけて大きく上昇し、29年の販売店率は97%となった。サラダチキンはこの3年間で急速に普及し、代表的な食肉加工品の一つとして定着したものとみられる。

アイテム数を原産国別に見ると、近年増加傾向で推移しており、直近の29年12月時点では、最も多い「国産」が23アイテム、次いで「タイ産」が14アイテム、「その他」が7アイテムとなった。特に29年はタイ産を中心に大幅に増加し、29年12月時点では、全体で前年同月から17アイテム増の44アイテムとなった(図4)。

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金額シェアを原産国別に見ると、27年春までは「国産」が100%を占めていたものの、サラダチキンの需要増に伴い、「その他」が27年春、「タイ産」が28年春に出現した。29年12月時点でタイ産は国産と同等水準まで普及し、その他は1割程度を占めている(図5)。

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3 WEB調査

(1)調査概要

WEB調査は、株式会社マクロミルのモニターから抽出した1555名を調査対象(抽出条件はサラダチキンを半年に1回以上の頻度で購入している者)とし、年代×性別×家族形態別に回収した(表1)。調査実施期間は平成30年2月16〜18日の3日間。

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(2)結果概要

サラダチキンの購入頻度を見ると、男性は「1カ月に1回程度」、女性は「2〜3カ月に1回程度」の割合が高く、男性は女性よりもおおむね購入頻度が高い結果となった。また、20代男性では「週4回以上」が13%となり、日常的にサラダチキンを購入する愛好家が一定程度存在していることがわかった(図6)。

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サラダチキンの購入場所を見ると、いずれの家族形態も「コンビニエンスストア」の割合が最も高く、次いで「食品スーパー」「総合スーパー」と続いた。特に単身者・独身者は「コンビニエンスストア」が突出して高く、他の購入場所は既婚共働き世帯、専業主婦と比べて軒並み低かった(図7)。

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サラダチキンの購入理由を見ると、いずれの家族形態も「味が好きだから」に加え、「すぐに食べられるから」「調理の手間が省けるから」などの簡便性に関連する項目が上位となった。なお、各階層(家族形態×年代×性別)別で見ると、独身者・単身者の20代男性では「高タンパク質だから」が1位となり、筋力など身体作りのための食品としても評価されているとみられる。また、独身者・単身者の20〜30代女性では「低カロリーだから」が1位となり、ヘルシーな食品としても評価されている(表2)。

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サラダチキンの食べ方を見ると、独身者・単身者は「そのまま(サラダチキンだけで)食べる」、既婚共働き世帯および専業主婦は「サラダに入れて食べる」の割合が最も高かった。一部メーカーなどでは最近、サラダチキンを用いた料理のレシピをホームページなどで紹介することにも注力しており、「その他の料理に具材として使う」の今後の広がりを注目したい(図8)。

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サラダチキンを食べるタイミングを見ると、いずれの家族形態でも「夕食」の割合が最も高く、次いで「昼食」となった。なお、独身者・単身者や中高齢層の男性を中心に「お酒のおつまみとして」の割合も高い傾向があった(図9)。

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鶏肉の原産国に対する意識を見ると、いずれの家族形態も「日本」産に対する購入意向ありの割合はほぼ100%となった。一方、その他の外国(「タイ」「中国」「ブラジル」)産については、単身者・独身者や若齢層、男性を中心に購入意向ありの割合が高い傾向となった(表3)。

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4 おわりに

サラダチキンの販売金額は、近年増加傾向で推移している。スーパーマーケットでの販売店率は平成29年時点で97%まで上昇し、食肉加工品の代表的な商品のひとつとなった。

また、近年消費者の簡便化志向が高い状況の中、サラダチキンの簡便性などが高く評価され、今後の購入意欲についても、20代を中心に全ての階層(家族形態×年代×性別)で高い結果となったことから、今後も鶏肉消費に一定程度の影響を与えていくものと思われる(図10)。

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さらに、今後のサラダチキンに期待することでは、「値下げや低価格商品の拡充」「味(フレーバー)の種類の拡充」の割合が高かった(図11)。メーカー各社では最近、サラダチキンの新商品を続々と発売しており、タイ産の金額シェアの拡大や味(フレーバー)の種類の拡充が進んでいるが、サラダチキンブームにあやかった商品も増えていることから、国産品は、タイ産だけでなく、その他の加工品とも競合が激しくなることも考えられるため、今後、サラダチキンの販売動向が鶏肉需給にどのように影響していくのか注視したい。

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なお、本調査結果の詳細については、下記URLをご覧ください。

https://www.alic.go.jp/r-nyugyo/raku02_000076.html


				

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