需給動向 海外

◆豪 州◆

2017/18年度牛肉輸出量、100万トンを上回る


成牛と畜頭数、乾燥した天候により雌牛を中心に増加

豪州統計局(ABS)によると、2018年5月の成牛と畜頭数は、同年1月以降の乾燥した天候により牧草の生育が悪く、牛群を縮小させる動きが出たことから、75万8200頭(前年同月比11.1%増)とかなり大きく増加した(図3)。この結果、同月の牛肉生産量(枝肉ベース)は、21万9900トン(同8.9%増)とかなりの程度増加した。

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と畜頭数の内訳を見ると、雄牛は35万5000頭(同5.3%減)とやや減少した一方、雌牛は40万3200頭(同31.0%増)と大幅に増加しており、牛群縮小のために繁殖雌牛を中心に淘汰したとみられる。同月のと畜頭数全体に占める雌牛の割合は53.2%と、前月に続き50%を上回った。雌牛の単月のと畜頭数が40万頭を上回るのは、2015年7月以来34カ月ぶりである。中でも、主産地であり、干ばつが深刻化しているクイーンズランド州は、前年同月比47.8%増と最も増加した。

牛肉輸出量、2カ月連続で10万トンを上回る

豪州農業・水資源省(DAWR)によると、2018年6月の牛肉輸出量は、牛肉生産量の増加により10万1171トン(前年同月比7.1%増)とかなりの程度増加し、単月の輸出量が2カ月連続で10万トンを上回った。

この結果、2017/18年度(7月〜翌6月)の累計では、107万8000トン(前年度比12.4%増)と、牛肉生産量の増加によりかなり大きく増加し、2年ぶりに100万トンを上回った(図4)。

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主要輸出先別に見ると、日本向けは、需要増により30万7000トン(同10.6%増)とかなり増加し、3年ぶりに30万トンを上回った。米国向けは、同国で牛肉生産量が増加しているものの、赤身率の高い牛肉に対する需要が強いことから23万5000トン(同12.7%増)と増加した。中国向けは、輸入牛肉需要の増加から13万3000トン(同37.5%増)となり、主要輸出先の中でもっとも前年度比で増加した。一方、韓国向けは、米国産が豪州産に比べて関税面で有利であることなどにより、米国産にシェアを奪われていることから、16万トン(同3.3%減)と、主要輸出先では唯一減少した。

2017/18年度生体牛輸出頭数、中国向けと畜場直行牛が大幅増

豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)によると、2017/18年度の生体牛(肉用牛および乳牛)の輸出頭数は、牛飼養頭数の増加により、96万頭(前年度比6.0%増)と3年ぶりに増加したものの、100万頭には達しなかった(図5)。

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最大の輸出先であるインドネシア向けは、肥育もと牛が大部分を占めるが、同国政府の政策により、同国の輸入業者は、肥育もと牛5頭の輸入に対し、繁殖雌牛1頭の輸入を義務付けられていることから、51万頭(同2.4%減)と引き続き減少した。一方、第2位のベトナム向けは、17万頭(同5.6%増)と増加した。ベトナム向けは、と畜場直行牛が大部分を占めており、豪州の牛飼養頭数の増加に伴って増加した。第3位の中国向けは、10万頭(同33.4%増)と大幅に増加し、主要輸出先の中で頭数ベースで最も大きな増加を記録した。中でも、と畜場直行牛は、2万4000頭と前年度の1200頭から大幅に増加した。2015年に、中国と豪州政府間で肥育もと牛およびと畜場直行牛に関する家畜衛生条件が合意され、3年間でと畜場直行牛の生体輸出に関するサプライチェーンが構築されてきたことに伴い、本格的に輸出が開始されたとみられる。

(調査情報部 大塚 健太郎)


				

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