需給動向 海外

◆米 国◆

牛飼養頭数は増加も、今後は鈍化する可能性


牛飼養頭数は引き続き増加

米国農務省全国農業統計局(USDA/NASS)が2018年7月20日に公表した「Cattle」によると、7月1日時点の牛総飼養頭数は、2015年以降増加傾向にあり、2018年は、堅調な需要や飼料価格安などを背景として、前年比1.0%増の1億320万頭と2009年以降で最大となった(表1)。

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内訳を見ると、肉用繁殖雌牛(経産牛)は同0.9%増の3250万頭、去勢牛は前年並みの1450万頭となった。また、子牛は同1.8%増の2840万頭とわずかに増加した。一方、肉用繁殖後継牛は、同2.1%減の460万頭と唯一前年を下回った。

と畜に占める雌牛の割合が増加

USDA/NASSが2018年7月19日に公表した「Livestock Slaughter」によると、上半期(1〜6月)の牛と畜頭数は、前年同月比3.2%増の1630万1000頭となった。内訳を見ると、去勢牛は同0.6%減の844万9000頭となった一方、未経産牛は同8.2%増の447万頭、肉用経産牛は10.9%増の151万8000頭となった。雌牛のと畜の増加は、牛群拡大が進み、繁殖経営の増頭意欲が鈍化したことを示している。

2018年1〜6月の牛と畜頭数に占める雌牛の割合は、46.5%となり前年同期を2.1ポイント上回った(図1)。この割合が47%を超えると繁殖雌牛頭数が減少傾向になるとされていることから、現在の牛群拡大局面は鈍化しているとみられる。

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今後も牛肉生産は堅調の見込み

「Livestock Slaughter」によると、2018年上半期の1頭当たり平均枝肉重量は、前年同期比0.5%増の813ポンド(369キログラム)となった。同期の牛肉生産量は、と畜頭数と1頭当たり平均枝肉重量がともに前年を上回ったことから、同3.8%増の598万2000トンとなった(図2)。

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USDAは今後の生産量について、2018年下半期(7〜12月)は前年同期比3.5%増の633万トン、2019年上半期は同2.2%増の611万4000トンと見込んでいる。また、「Cattle」によると、2018年の年間子牛出生頭数は、2008年以降で最多となる3650万頭(前年比1.9%増)となる見込みであることから、当面の牛肉生産量は増加傾向で推移すると見込まれる。

(調査情報部 渡邊 陽介)


				

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