需給動向 国内 |
平成30年7月の鶏卵卸売価格(東京、M玉)を見ると、前月比8円高の1キログラム当たり173円(前年同月比18円安)にまで回復した(図9)。
鶏卵の卸売価格は、例年、春から夏場の気温の上昇に伴って低下し、例年8月ごろに底を迎え、最需要期の冬場に向けて上昇する傾向があるが、本年は、4月末に発動した成鶏更新・空舎延長事業(注1)の影響や、近年の相場安による、生産者の増産意欲の落ち着きなどもあり、5月以降相場はやや上昇したものの、不需要期に入り、相場安が続いている。
注1:鶏卵価格が低下した場合、需給改善のため、成鶏の更新に当たり空舎期間を設けた生産者に対して、奨励金を交付するもの。
平成30年6月のサイズ別鶏卵相場を見てみると、気温の上昇に伴い東京、大阪ともにL玉の相場が上昇している(図10)。今年の6月の月平均気温は全国的に高かったこともあり、卵重の低下が進んだと見られる。
今後について、気象庁が8月2日に発表した向こう一カ月の平均気温の予報によると、本州すべての地域において「平年より高くなる」確率が50%以上となっており、全国的な猛暑と予想されている。供給面では、産卵率の低下や、小玉化などが懸念されている。需要面では、夏場は例年暑さによる家庭での消費意欲の減退が見られることから、今後も鶏卵の消費動向が注視されている。
(一社)日本養鶏協会は8月1日、鶏卵生産者経営安定対策のうち、鶏卵価格差補塡事業に係る7月の補塡額(注1)を、1キログラムあたり7.101円と発表した。
この事業は、当該月の標準取引価格(規格卵(注2)における1キログラム当たりの加重平均価格)が補塡基準価格を下回った場合、補填基準価格(185円)と安定基準価格(163円)との差額を上限として、その9割を生産者に補塡するものである。
注1:補塡額とは、標準取引価格と補塡基準価格の差額(補塡基準価格と安定基準価格との差額を上限とする)の9割をいう。
2:規格卵とは、JA全農たまご株式会社の東日本営業本部および西日本営業本部において販売された、鶏卵規格取引要綱に定める箱詰鶏卵規格およびパック詰鶏卵規格に定める全種類の鶏卵をいう。
鶏卵消費の約5割を占める家計消費を見ると、6月の購入数量および支出金額はそれぞれ、1人当たり908グラム(M玉換算で約15個相当。前年同月比7.7%増)、同260円(同1.0%増)といずれも前年同月を上回った。
近年、家計消費は比較的好調に推移しており、購入数量については、29年度以降は年間を通しておおむね前年同月を上回って推移している(図11)。
(畜産需給部 岩井 椿)