需給動向 海外

◆豪州◆

5月の生乳生産量は、前年同月比2.5%増


タスマニア州は2割を超える増産

デーリー・オーストラリア(DA)によると、2018年5月の生乳生産量は、68万1200キロリットル(70万1600トン相当、前年同月比2.5%増)と12カ月連続で前年同月を上回った。2017/18年度(7月〜翌6月)の5月までの累計でも、865万1200キロリットル(891万700トン相当、前年同期比3.4%増)と前年同期をやや上回った(図16)。

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5月の生乳生産量を地域別に見ると、酪農主産地のビクトリア州(41万5100キロリットル(42万7600トン相当、前年同月比0.3%増))は、前年同月並みで推移したものの、タスマニア州(7万6300キロリットル(7万8600トン相当、同23.0%増))は、天候が良好であったことや乳牛の乾乳期を繰り下げる動きなどから2割を超える増産となった。

5月の乳製品輸出量、脱脂粉乳とバター類は2桁減

DAが発表した2018年5月の主要乳製品4品目の輸出量については、生乳生産が増加基調で推移しているものの、脱脂粉乳およびバター類は前年同月比で2桁減となった。その要因としては、脱脂粉乳は前年同月が高水準であったこと、バターは国際価格が高値で推移する中、輸出相手先からの引き合いが弱まったためと考えられる。一方、全粉乳およびチーズは、前年同月でそれぞれ12.6%増、1.9%増となった(表12、図17)。

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5月の輸出量を輸出先別に見ると、脱脂粉乳はフィリピン向けが増加したものの、中国、インドネシアおよび日本向けが減少した。全粉乳はシンガポールおよびマレーシア向けが減少したものの、中国向けの増加が目立った。また、バター類はベトナムおよびマレーシア向けが増加したものの、中国および台湾向けが減少した。チーズは韓国およびマレーシア向けが減少したものの、最大の輸出先である日本向けが増加した。なお、輸出金額については、輸出量が全体では減少したものの、国際価格が前年同月を上回っていることから、わずかに増加した。

農業・水資源省が酪農家向けホームページを開設

豪州農業・水資源省のデビット・リトルプラウド大臣は、7月6日、乳価に影響を与える乳製品輸出価格などに関する情報を掲載するホームページ(注)を開設したと発表した。

このホームページでは、チーズ、バター、脱脂粉乳および全粉乳の輸出価格を月ごとに掲載している。さらに、それら4品目の輸出価格と輸出量から算出される生乳価格指数(Australian Commodity Milk Price Index、以下「CMPI」という)と呼ばれる数値を、2008年を100としグラフ化しており、酪農家が乳製品取引市場の動向を理解しやすいよう表示している。同省は、このCMPIについて、1年後までの予測を行い、四半期に1度、予測値の見直しを行うとしている。

また、今後は、このホームページを活用し、全国を8つに区分し、それぞれの地域の酪農家から現在受け取っている乳価などに関するデータを任意で収集し、各地域における乳価の指標価格を掲載するほか、月1回レポートを発行し、乳価に影響を与える生乳生産量、降雨量、水取引価格、飼料価格の動向などに関する情報も提供していくとしている。

これらの指標やホームページの作成に要する経費は、2015/16年度の乳業メーカーによる乳価引き下げの影響を受けた酪農家を支援する事業により拠出された。

リトルプラウド大臣は、「乳製品国際取引価格の動向に関する酪農家の理解が深まること、乳価に関する透明性が向上することは、酪農家にとって良いことである。酪農の経営指標となる多くの情報を提供することにより、酪農家が経営判断を行う手助けとなる。政府は、これらの指標やホームページに関して、酪農業界へ意見を聞くとともに、業界からのフィードバックを歓迎する」としている。

(注)URL:http://www.agriculture.gov.au/milkpriceindex

(調査情報部 石橋 隆)


				

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