需給動向 海外

◆中国◆

米国産乳製品に追加関税


生乳価格は引き続き前年割れ

2018年の生乳価格(主要10省・自治区)は、前年を下回って推移している(図22)。

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大手生産者4社の1キログラム当たりの生乳出荷価格は、2017年で3.71〜4.27元(61~70円:1元=16.5円)と主要10省・自治区平均よりも高いものの、2016年より低く、1社を除いて赤字となっている(表15)。

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生乳価格の低下は、安い乳製品との競合が原因だといわれており、実際、全粉乳と脱脂粉乳ともに1〜3月の輸入量は前年同期より1割増えている。なお、例年であれば、中国税関当局から7月末には5月までの輸出入データが公表されるが、本年は4月以降のデータが公表されていないため、確認できない。

現地専門家によると、中国の生産者の多くは価格交渉力が弱く、近年輸入品との競合が激しくなったことで、生乳価格を低く抑えられたり、集乳を拒否されることがあると言われる。こうしたことから、生産者の収益性が悪化し、酪農をやめる経営が多いとみられる。

米国産乳製品に追加関税

中国政府は、7月6日から牛乳乳製品を含む多くの米国産品に25%の追加関税を課した。これにより、米国産乳製品の関税は27〜45%となった(表16)。

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追加関税の詳細は次のURLを参照されたい。

https://www.alic.go.jp/chosa-c/joho01_002237.html

2017年の牛乳乳製品の輸入額は48億米ドル(5376億円:1米ドル=112円)であり、うち米国は4億3000万米ドル(482億円)と、1割弱を占める。このうち、米国からの輸入額が多いのは、ホエイ、チーズ、脱脂粉乳であり、それぞれ輸入額の43%、12%、10%を占める。

また、大豆やソルガムなど飼料原料となる農産物にも7月6日から25%の追加関税が課されている。米国農務省によると、米国から中国への輸出量は、大豆、ソルガムともに、追加関税の計画が発表された4月以降、低水準となっている(図23)。ただし、大豆は例年4月から6月ごろの輸出量が少ないため、季節変動の可能性がある。

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(調査情報部 三原 亙)


				

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