需給動向 海外

◆EU◆

生乳は15カ月連続で増産


5月の生乳出荷量は2.0%増

欧州委員会によると、2018年5月の生乳出荷量(EU28カ国)は、前年同月比2.0%増の1454万8070トンとなり、15カ月連続の増加となった(図14)。

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5月の出荷量を加盟国別にみると、イタリア(前年同月比7.9%増)やベルギー(同4.7%増)、ポーランド(同4.3%増)、ドイツ(同3.6%増)など多くの国で増産となった一方、2017年にリン酸塩排出削減のために乳牛のとう汰を行ったオランダ(同1.5%減)と、降雨不足に見舞われたアイルランド(同0.4%減)では減産となった(表10)。

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欧州委員会は、7月に公表した農畜産物の短期的需給見通しで、生乳出荷量について、2018年は前年比1.2%増、2019年は同0.8%増と見込んでいる。

チーズ輸出量は引き続き増加

欧州委員会によると、2018年1〜5月のチーズ輸出量(EU28カ国)は、前年同期比0.6%増の34万9610トンとなった(表11)。輸出先別に見ると、最大の輸出先である米国向け(同9.0%減)が減少した。なお、米国は、過去最高水準のチーズの在庫を抱えていることから輸入量を減らしているとみられる。また、韓国向け(同25.5%減)も減少した。一方、輸出先第2位の日本向け(同7.2%増)、スイス向け(同3.5%増)は増加した。増加量で見ると、日本向けの伸びが大きく、前年同期より2860トンの増加となった。

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EUのチーズ輸出量は、2016年(前年比11.3%増)、2017年(同3.7%増)と、2年連続で増加した。この傾向は2018年以降も続くと見られており、欧州委員会は、短期的需給見通しの中で、2018年は前年比2.5%増、2019年は同5.0%増となると見込んでいる(図15)。

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なお、輸出需要とEU域内の需要に支えられ、チーズ生産量も増加傾向で推移しており、2018年は前年比2.1%増、2019年は同1.6%増となると見込まれている。

日EU・EPA署名、EU農業団体は歓迎

欧州委員会は、7月17日の日EU経済連携協定(EPA)の署名について、同日付けでプレスリリースを行い、約6億人の消費者をカバーする開かれた貿易圏を創出する過去最大の貿易協定であると紹介した。同プレスリリースの中で、農業分野の輸出において鍵になるポイントとして、ゴーダチーズやチェダーチーズにおける関税撤廃について触れている。日EU・EPAにより、EU産のハード系チーズは段階的に引き下げられ16年目に関税撤廃となる。また、ソフト系チーズには関税割当枠が設定され、枠内税率は段階的に引き下げられ16年目に無税となる。

日EU・EPAの署名に際し、EUの農業団体は、総じて歓迎の意と期待感を表している。EUの乳製品輸出事業者の団体である欧州乳製品輸出入・販売業者連合(EUCOLAIT)は、日本市場はチーズ部門において特に重要であるとコメントしている。

なお、欧州委員会は同プレスリリースの中で、同協定の発効予定時期について2019年中と言及している。

(調査情報部 前田 絵梨)


				

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