需給動向 国内

◆牛乳・乳製品◆

生乳生産量、9カ月連続で増加


平成30年6月の生乳生産量は、62万866トン(前年同月比1.1%増)と9カ月連続で前年同月を上回った。

地域別に見ると、北海道が34万251トン(同3.7%増)と10カ月連続で前年同月を上回った一方で、都府県は28万615トン(同2.0%減)と28カ月連続で前年同月を下回った。

生乳生産量の過半を占める北海道では、6月中旬以降の長雨の影響による牧草の品質低下が懸念されているものの、地域別では帯広地区が前年同月比5.2%増、北見地区が同3.3%増、中標津地区が同1.7%増と主産地でいずれも前年同月を上回った。一方、都府県では、離農などによる減産傾向が続いており、メガファームでの生産が全体をけん引している中国地方を除き、全ての地域で前年同月を下回った。

牛乳等向け生乳処理量、2カ月連続で増加

用途別生乳処理量を見ると、牛乳等向けは35万1450トン(同1.5%増)と2カ月連続で前年同月を上回った。この要因として、健康機能を伝えるテレビ番組の放映により、ゴールデンウイーク明け以降、牛乳消費が好調なほか、カフェラテなどに使用される業務用向けの増加などが挙げられる。一方、牛乳等向けの増加を受け、乳製品向けは26万5361トン(同0.5%増)と前年同月並みにとどまった(農林水産省「牛乳乳製品統計」)。

平成30年度の移入必要量、前年度比10.8%増の見込み

一般社団法人Jミルクが平成30年7月27日に公表した「平成30年度の生乳及び牛乳乳製品の需給見通しと今後の課題について」によると、平成30年度の生乳生産量は、前年度並みの726万6000トン(前年度比0.3%減)、このうち北海道が396万6000トン(同1.3%増)、都府県が330万トン(同2.2%減)と見込んでいる(表1)。

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都府県の生乳生産が依然として減少基調で推移する中、北海道から都府県への移出量は、需要期を中心に前年と比較して増加(8〜10月計16万2千トン、前年同期比13.5%増)し、年度計でも49万8000トン(前年度比10.8%増)と見込んでいる。

今夏については、北海道においては長雨による牧草の品質低下に伴う秋季以降の生乳生産への影響が、都府県においても猛暑や西日本豪雨などによる影響が懸念されている。牛乳消費が好調に推移する中、9月の飲用最需要期を控え、今後の生産動向が注視されている。

平成29年度のチーズ総消費量、過去最高を更新

農林水産省が7月13日に公表した「平成29年度チーズの需給表」によると、29年度の国内チーズ総消費量は33万8344トン(前年比5.3%増)と4年連続で前年度を上回り、過去最高を更新した(図8、表2)。消費量の増加が続く背景として、家飲みや外食需要の増加などが挙げられる。

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内訳を見ると、国産ナチュラルチーズの生産量は4万5535トン(同3.8%減)と減少したものの、プロセスチーズ原料用以外のナチュラルチーズの輸入数量が18万3417トン(同10.6%増)と前年度をかなりの程度上回り、全体の消費をけん引した。この結果、チーズの総消費量に対する国産品の割合(ナチュラルチーズベース)は前年度の15.7%から1.5ポイント低下し、14.2%(注)となった。

注:チーズ総消費量に対する国産品の割合は、「平成29年度チーズの需給表」から引用したもの。

(畜産需給部 二又 志保)


				

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