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◆NZ◆
2017/18年度の生乳生産量は前年度並みまで回復
ニュージーランド乳業協会(DCANZ)によると、2018年5月の生乳生産量は、86万9000トン(前年同月比6.2%増)と2カ月連続で前年同月を上回った(図18)。
生乳生産量は、昨年後半の降雨量が平年を下回った影響により減少していたものの、1月上旬のまとまった降雨により牧草の生育環境が改善し、1月(同4.9%減)を底に回復傾向で推移してきた。この結果、2017/18年度通年(6月〜翌5月)の生乳生産量は、前年度比0.1%増の2137万2000トンとほぼ前年並みとなった。
ニュージーランド(NZ)の生乳生産は、気象条件と乳製品の輸出動向に大きく左右されるが、ここ10年間で見ると、2007/08年度の1523万1000トンから輸出拡大に伴い約4割の増産となった(図19)。
しかしながら、近年のNZの生乳生産量は、2014/15年度の2191万トンをピークに、微減または横ばいで推移している。
なお、業界関係者によれば、2018/19年度の生乳生産量の見通しについて、乳価が引き上げられたことにより、酪農生産現場での投資が再び活発化するとの期待から、前年度比2.0%増としている。
ニュージーランド統計局(Statistics NZ)によると、2018年5月および2017/18年度通年の乳製品主要4品目の輸出量は、以下の通りとなった。(表13、図20)
5月の輸出量については、生乳生産が回復傾向にあることなどから、粉乳類を除き増加した。特に、バター類は、中国の輸入急増により3割を超える伸びとなった。
2017/18年度通年の輸出量で見ると、全粉乳が前年度より増加したものの、他の品目は減少した。これは、NZの生乳生産のピーク時の春から夏の期間に少雨で生乳生産が減少したことや、バターの国際価格が高値で推移したことから輸出相手先からの引き合いが弱まったためと考えられる。
2018年7月17日に開催された、乳製品価格の指標とされるグローバルデーリートレード(GDT:フォンテラ社主催の電子オークション、月2回開催)の1トン当たり平均取引価格は、以下の通りとなった(表14、図21)。
脱脂粉乳および全粉乳は、前回よりもわずかに値を戻したものの、それぞれトン当たり2000米ドル、3000米ドルを下回った。
また、バターも、前回比8.1%安、前年比17.5%安の同4953米ドル(55万5000円)と6カ月ぶりに5000米ドルを割り込んだ。そして、チーズも前回比3.2%安、前年比12.5%安の同3596米ドル(40万3000円)となった。
このように、全般的に弱含みの取引結果となったのは、NZの生乳生産の回復が鮮明になったことに加え、その他の主要国の生乳生産がおおむね順調であることを反映したからとされている。
(調査情報部 石橋 隆)