需給動向 海外

◆チリ◆

生産、輸出ともに回復傾向


近年の減産から反転増産

チリ農業省農業政策・調査局(ODEPA)によると、2018年1〜5月の豚肉生産量は、豚と畜頭数が前年同期比4.4%増の212万8868頭とやや増加したことに加え、1頭当たり枝肉重量も同4.5%増の103.4キログラム(注)と増加したことから、同9.1%増の22万127トン(枝肉重量ベース)とかなりの程度増加した(図8)。2012年に最大手企業の大規模養豚施設が環境問題による近隣住民の反対により閉鎖して以降、飼料原料価格が安価に推移したことでわずかに増産となった2015年を除いて減産傾向が続いていたが、2018年の生産量は回復が予想されており、米国農務省(USDA)によると、前年比5.8%増の50万トンと見込まれている。

(注) チリの豚枝肉は、通常、頭・皮付きであるため、1頭当たり枝肉重量は日本の1.3倍程度が目安。出荷体重の平均は120キログラム前後。

025b

ロシア向け輸出が大幅増

2018年1〜6月の冷蔵および冷凍豚肉輸出量は、前年同期比10.4%増の7万1595トン(製品重量ベース)と、かなりの程度増加した(表3)。国別にみると、ロシアが、輸入量の9割以上を占めていたブラジルからの輸入を停止した2017年12月以降、代替としてチリからの輸入を増やしたことから、同国向けは同78.2%増となった。昨年急増したコスタリカ向けが反動で大幅に減少した他、日本向けもかなりの程度前年同期を下回ったが、その他の輸出先については、生産量の増加を受けて、前年同期を上回る結果となった。

026a

国内生産の回復に伴い、輸入量は減少

一方、2018年1〜6月の冷蔵および冷凍豚肉輸入量は、前年同期比1.5%減の3万2131トン(製品重量ベース)と、過去最高となった前年をわずかに下回った(表4)。国別にみると、ロシアに輸出できなくなったブラジル産が、中国や南米諸国を中心に、前年を下回る単価で輸出されたことにより大幅に増加した一方で、その他の国の多くは前年同期を下回った。近年、人口増加と経済成長に伴い国内需要が拡大しており、安価な外国産豚肉の輸入が増え、ハムやソーセージなどに仕向けられるという傾向が強まっていたが、やや様相の異なる結果となった。

026b

(調査情報部 佐藤 宏樹)


				

元のページに戻る