需給動向 国内

◆豚 肉◆

7月の豚枝肉省令価格、前月比60円高



平成30年6月の豚肉需給を見ると、生産量は6万9573トン(前年同月比2.7%減)と前年同月をわずかに下回った。輸入量は7万6677トン(同4.1%減)と前年同月をやや下回った。輸入量のうち主にテーブルミートとして消費される冷蔵品は、3万1705トン(同5.4%減)と前年同月をやや下回った。また、主に加工・業務用に仕向けられる冷凍品も前年同月をやや下回る4万4970トン(同3.3%減)となった。推定出回り量は前年同月をわずかに下回る14万7959トン(同2.9%減)となり、推定期末在庫は前月から1765トン取り崩し、17万8521トン(同1.5%減)と前年同月をわずかに下回った(農林水産省「食肉流通統計」、財務省「貿易統計」、農畜産業振興機構調べ)。

好調なテーブルミート需要

総務省「家計調査報告」によると、平成30年6月の全国一人当たりの家計消費は、好調なテーブルミート需要を背景に、金額が840円(前年同月比5.3%増)、数量が603グラム(同8.2%増)といずれも16カ月連続で前年同月を上回った(図3)。なお、当機構が30年4月に公表した「食肉販売動向調査結果(平成30年度上半期)」(注)によると、量販店や食肉専門店では、29年度下半期の国産豚肉と輸入豚肉の販売実績はいずれも前年同期比で「増加」の回答数が「減少」を上回り、30年度上半期も同様の傾向の見通しとなっている。家計消費が好調に推移していることから、現時点では、豚肉の販売動向は見通し通りの結果になると見込まれる。

注:「食肉販売動向調査」とは、当機構が年に2回実施している卸売業者および小売業者を対象とした食肉の取り扱いや販売見通しに関するアンケート調査。(https://www.alic.go.jp/r-nyugyo/raku02_000060.html



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国産豚肉相場、4月以降上昇傾向で推移

豚枝肉卸売価格(省令価格・東京大阪加重平均)の推移を見ると、国産品との競合関係にある冷蔵品輸入量の増加を背景に2〜4月は軟調に推移していたものの、今夏の記録的な猛暑などの影響を受け、枝肉重量が低下したことなどから、平成30年7月は前月から60円高い1キログラム当たり646円(前年同月比2.4%安)となった(図4)。

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また、国産豚肉の部分肉仲間相場(冷蔵品)のうちロース、かたロース、ばらの推移を見ると、いずれも豚枝肉卸売価格に連動して推移しており、年間平均では、高級部位とされるロースの価格が最も高く、次いでかたロース、ばらの順に高い。また、例年の季節変動を見ると、ロースは、主に焼き材として需要が高いことから、年間を通じて堅調に推移している。一方、ばらは、主に鍋用のスライス材として需要が高いことから、夏場に伸び悩むものの、冬場に上昇する傾向がある。かたロースは、焼き材やスライス材に加え、挽き材(ミンチ)などにも適し、様々な豚肉料理で広く利用されていることから、冬場に上昇する一方で、夏場も堅調に推移している。

通常、部分肉相場は、枝肉相場を反映したものとなっているが、今夏の猛暑で需要面からも影響を受ける可能性がある。気象庁は9〜10月の気温も平年並みか平年よりも高いと見込んでおり、暑さによる需要減退なども考えられ、今後の天候などによる影響についても注視されている。

(畜産需給部 河村 侑紀)


				

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