豪州の牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○肉牛価格が全タイプで急落



94年半ば以降値下がり傾向続く

 豪州の肉牛価格は、 米国市場で牛肉供給量が増加していることや、 日本市場で 価格が低迷していることなどを反映して、 94年半ば以降、 ほぼ一貫して値下がり 傾向で推移してきた。 95年末には、 季節的に需要が増加したことでやや価格が回 復に向かったものの、 今年に入って再び低落傾向となり、 2月末以降、 さらにこ の傾向が強まっている。

2月末には80年代前半水準まで暴落

 豪州で価格指標となる肉牛は、 米国向けの加工用経産牛 (枝肉重量200〜260kg のもの)、 日本向け肥育牛 (同300〜400kgの大型去勢牛)、 韓国向け肥育牛 (同260 〜300kgの中大型去勢牛) および国内向けの若齢牛 (同200kg以下) の4タイプで ある。  通常、 これらの肉牛価格は、 主力となる市場がそれぞれ異なることから、 必ず しも全てが同じ価格動向を示すとは限らない。 しかしながら、 2月末以降は全タ イプの肉牛価格が暴落し、 3月第2週には、 米国向け加工用経産牛が前年同週比 35.2%の値下がり、 日本向け肥育牛価格では同39.4%の値下がり、 また、 韓国向 け肥育牛では38.0%の値下がり、 国内向け若齢牛価格では19.7%の値下がりと、 80年代前半の水準まで一挙に下落した。
グラフ:肉牛価格の推移

日本および米国市場の需要低下、 と畜増加が要因か

 価格下落の要因としては、 米国の更なる生産拡大、 4月からの関税引き下げを にらんだ日本からの引き合いの減少、 主要牛肉生産地帯であるクィーンズランド 州、 ニューサウスウェールズ州でのと畜頭数の増加などの要因が重なったことが 考えられる。 また、 肉牛生産者の売り急ぎも出始めているようであるが、 現時点 では、 価格の底がみえていないだけに、 今後、 このような生産者の動きが価格低 落にさらに拍車をかけることも懸念される。  また、 このような異常とも言える価格低落を、 肉牛生産者協議会 (CCA) は 「 市場原理を反映していない」、 「(パッカーの肉牛調達が) 弱含みでスタートした、 96年の輸出市場への過剰反応と指摘しているが、 パッカー団体である豪州食肉協 議会 (AMC) は、 米国の供給過剰が主な原因であると反論している。 AMCでは、 市 況の低迷は70年代同様の厳しい状況にあるか、 これは短期的なものではなく、 米 国のキャトルサイクルの現状から推定すると、 回復には、 今後、 2〜3年を要す るとみている。
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