米国の牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○飼養動向・生産見込み



緩やかな拡大が継続

 米国農務省 (USDA) の発表によれば、 96年1月1日時点の牛飼養頭数は、 前年 比1. 0%増の1億382万頭であった。 飼養頭数は、 91年以降、 6年連続で前年水 準を上回って推移しているが、 今回も拡大傾向が続いていることを示した。 なお、 現在の牛群拡大サイクルにおける増加のペースは、 前年伸び率で、 0.6%から1.8 %と、 以前のものに比べて緩やかなものとなっている。

更新用の肉用繁殖

未経産牛が減少  タイプ別では、 肉用繁殖経産牛、 肥育用未経産牛及び去勢牛が、 前年に比べて それぞれ0. 5%、 5. 4%、 3. 5%の増加となった一方で、 更新用の肉用繁殖未経 産牛は、 4. 5%の減少となった。 この減少は、 肥育素牛価格の低迷による、 子牛 生産農家の増頭意欲の減退を反映したものとみられており、 将来の牛群縮小を示 唆するものとなっている。  肥育素牛価格 (600〜650ポンド、 オクラホマシティー市場) は、 94年1月以降、 前年を下回る水準で推移しており、 96年2月には、 100ポンド当たり59ドルまで 落ち込んだ。 ちなみに、 これを93年6月に記録した90年代の最高価格 (94ドル) と比較すると、 ほぼ4割安の水準となる。  USDAは、 96年前半の子牛生産農家の経営について、 牧草の状態が良いことや、 メキシコからの素牛輸入の減少が予想されるなど、 明るい要因があるものの、 飼 料価格の高騰に苦慮する肥育業者からの素牛価格引き下げ圧力が続くと見込まれ ることから、 収益状況は依然として厳しいと予測している。

96年の生産量見込み、 前年比2.4%の増加

 USDAは、 96年の牛肉生産量について、 第1四半期は、 前年同期比4.2%増とや や高めの伸びを示すものの、 その後、 伸び率は鈍化し、 1.5%から2.4%の範囲で 推移するものとみている。 この結果、 通年では2.4%の増加が見込まれている。  このような供給の増加から、 全般的には価格の軟調傾向が続くと予測されてい るが、 日本などの輸出市場や、 国内のレストラン向けなどに需要の強いチョイス 級以上の牛肉については、 供給の減少から、 比較的堅調な価格で推移するものと 見込まれている。 USDAは、 チョイス級以上の供給減の理由について、 飼料価格が 値上がりしていること、 これに関連して、 肥育業者が体重の重い素牛を導入して いること、 赤身肉の重視傾向が定着したことなどで、 肥育期間が相対的に短くな っていることなどによるものと分析している。  なお、 こうした傾向は、 すでに顕在化してきており、 例えば、 95年のセレクト 級 (チョイス級の1ランク下) の卸売価格 (ボックスドビーフ、 カットアウトバ リュー) が、 前年比4.1%の値下がりになっているのに対し、 チョイス級は、 1.6 %の下げ幅にとどまっている。
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