タイの鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○最近の鶏肉生産および飼料動向



官民合同でタイ養鶏の問題を探る

 タイ商務省、 タイ農業・協同組合省、 養鶏振興協会など関係機関は、 先般、 低 迷する冷凍鶏肉の輸出競争力回復と、 国内養鶏業の振興を図るため、 「96年の鶏 肉・鶏卵政策と問題点について」 をテーマに、 それぞれの立場から鶏肉の輸出振 興策や、 タイ養鶏産業の抱える問題点などについて意見交換した。 会議では、 政 府側から飼料原料の輸入割当枠拡大を始めとする、 最近の飼料政策について説明 がなされ、 また、 生産者団体からは、 大手企業が強い支配力を有する、 現在の鶏 肉産業に対する構造改善要求などか打ち出された。

はかどらぬ飼料価格の引き下げ

 飼料については、 ここ数年、 その原料となる大豆ミール、 魚粉の国内供給量の 大幅な減少、 また最近ではトウモロコシ国際価格の値上がりにより、 価格の高騰 が続いている。 これに伴い、 経営に占める飼料コストの割合が年々上昇しており、 鶏肉の生産コストを引き上げる大きな要因となっている。 このため、 昨年、 政府 は、 高騰する飼料価格の引き下げを図るべく、 数度にわたって飼料原料の追加輸 入や関税率の引き下げなどを行ってきた。 しかし、 飼料価格の値下がりを嫌う国 内の飼料製造業者などの抵抗により、 価格の引き下げは思うように進まない結果 となっている。

業界支援策に取り組む政府

 政府は、 今年、 1) トウモロコシ、 大豆ミールといった飼料原料の輸入 (関税) 割当枠をさらに拡大し、 2) 従来、 ほとんど飼料製造業者に割り当てられていた 割当枠の約45%を畜産団体に割り当てて直接輸入出来るようにするなど、 価格引 き下げに向けた取り組みを進めている。 また、 鶏肉の流通面では、 供給過剰によ る大幅な価格下落を防止するため、 近年、 冷凍品の調整保管に対し、 金融面での サポートを行っている。 94年の例では、 同調整保管に係る資金需要に対し、 2億 6千万バーツ (1バーツ=約4円) を融資した。

寡占化の進む養鶏産業への対応

 一方、 鶏肉生産者団体は、 鶏肉生産の振興と輸出促進のためには、 大手企業の 支配力が高まっている鶏肉産業の構造改善も必要であるとしている。 タイでは、 雛の大部分が大手養鶏企業により供給されており、 生産量および価格の決定は、 それら企業間の話し合いにより決定されることが多い。 このため、 雛価格は高値 に誘導される事が多く、 雛生産を行わない鶏肉生産者は、 必然的に割高な雛を購 入せざるを得ない状況にある。 このため、 中小企業を中心に採算割れが進み、 そ の結果、 優位に立つ大手養鶏企業に益々生産が集中する傾向が強まっている。 今 回の会議では、 生産者団体から、 これら問題を解決するため政府が中心となって、 中小の養鶏農家を組織化して雛生産を奨励し、 併せて雛の上限価格の設定を求 める声が強く上がっている。 こうしたことから、 政府としては、 この方面でも何 らかの対応策を講じざるを得ないものとみられる。
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