米国の鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○価格動向



むね肉価格、 軟調に

 米国内での消費が多いブロイラーむね肉の価格 (ボンレス、 北東部) は、 95年 8月から11月までの間、 前年同月を上回って推移したが、 それ以降は、 やや軟調 気味に推移しており、 96年2月は前年同月比0.6%の値下がりとなった。 こうし た動きの背景としては、 生産の増加が挙げられる。 特に、 96年に入ってからの伸 び率は、 1月が8.1%、 2月が11.1%とかなり高くなっている。 なお、 95年の夏 以降、 価格の値上がりで収益状態が良くなったことが、 生産者の増羽意欲を刺激 し、 増産を促したものとみられている。

堅調なもも肉価格

 これとは対照的に、 輸出向けが主体となっているもも肉の価格 (ホール、 北東 部) は、 好調な需要を背景に、 95年5月から7月の間を除き、 前年を上回る水準 で推移している。 96年に入ってからも、 1月が前年同月比18.4%高、 2月が同10. 2%高と堅調さを維持している。 もも肉は、 価格がむね肉の3分の1程度と安い こと、 加工しやすいことなどから、 日本やロシアなど、 海外市場での需要が強い。  95年の輸出量は、 ロシア、 香港向けなどの大幅な伸びにより、 11月までの累計 で、 前年同期比35. 6%の増加となっている。

対ロシア輸出に暗雲

 輸出量は、 現在、 生産量の15%に相当しており、 ブロイラー価格を支える重要 な役目を担っている。 その中でも、 ロシア向けは、 93年以降、 著しい伸びを示し、 現在最大の輸出市場である。 米国鶏肉鶏卵輸出協会によると、 95年の同国向け 輸出量は60万トンを超え、 輸出量全体に占めるシェアも約4割となっている。 な お、 ロシア向けの大半は、 低価格のもも肉である。  このため、 先頃、 ロシア政府が、 衛生問題を理由に米国産家きん肉の輸入を今 年3月19日以降禁止するとの方針を明らかにすると、 価格下落の懸念から、 ブロ イラー生産者にかなりの不安感が広がった。 その後、 ロシア側は、 この輸入禁止 措置を実施しない旨を米国に伝えたが、 公式文書となっていないため、 ロシア向 けブロイラー輸出に対する懸念が完全に払拭されたとはいえない状況にある。
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タイの鶏肉の需給動向