調査レポート 

豪州畜産の見通し(肉牛産業及び酪農を中心に)−96年農業観測会議報告から−

シドニー駐在員 鈴木 稔、石橋 隆

はじめに

豪州では、 毎年2月初旬に豪州農業資源経済局 (ABARE) が主催する 「農業観 測会議 (OUTLOOK CONFERENCE)」 が、 首都キャンベラで開催される。  この会議は、 今後の経済成長、 農業・貿易政策、 気象条件などを総合的に勘案 したうえで、 主要な農産物の需給、 貿易に関する短中期的な見通しを示すととも に、 現在豪州農業が抱える諸問題などを討議するものである。  農業国の豪州は、 主要農産物の多くを輸出に依存しており、 これらの輸出動向 が農業経済に大きな影響をもたらすことから、 この会議への関心は極めて高く、 今年も2月6日から8日までの3日間にわたり、 活発な論議が交わされ、 また、 会議の一部は国営テレビで全国放映された。  昨年のこの会議では、 干ばつ被害によって農家経営が窮地に立たされた時期で もあり、 農家救済策を巡り緊迫した場面もあったが、 今年の会議は、 干ばつもほ ぼ終息し、 農業生産も急速に回復に向かっていることから、 終始和やかな雰囲気 の中で進められた。

1 農業全般の見通し

 91年からの断続的な干ばつによって豪州農業は甚大な被害を受けたが、 昨年後 半以降、 地域格差はあるものの農業地域に恵みの雨がもたらされたことから、 農 業生産は急速に回復した。  主要な輸出農産物である小麦と乳製品は、 国際的に需給がタイトという追い風 もあって、 産業全体が活気づくとともに農家経営も改善に向かっている。 ABARE では、 中期的にみても小麦と乳製品の国際需給はタイトな状況が続き、 価格は堅 調に推移すると見込まれていることから、輸出の順調な拡大が期待されていると している。  一方、 牛肉産業は、 干ばつ終息後も牛群の再構築に時間を要することや、 米国 の供給過剰の影響を受け海外市場において苦戦を強いられていることから、 現在 もなお低迷を続けている。 しかしながら、 ABAREでは、 生産の低迷は今年度に底 を打ち、 来年度以降は緩やかに拡大すると見通しており、 長いトンネルの出口が 見えてきたと言えよう。  羊毛産業においても、 国際価格が軟調に推移していることから厳しい状況にあ るものの、 来年度以降、 国際需給は回復し、 価格の上昇が見込まれている。 (1) 農産物の輸出額  95/96年度の農産物の輸出額は、 生産品目によって格差があるものの総じて明 るい見通しとなっており、 全体で前年度より9. 5%増の約194億豪ドルとなって いる。  その牽引力となったのは、 小麦をはじめとする穀物セクターであるが、 小麦が 前年度より92%増の1,705万トン、 大麦がほぼ倍増の557万トンなど、 全体の冬 穀物の収穫量が、 前年度の干ばつ被害による大幅な落ち込みから一転して92%増 の2, 750万トンと過去3番目の豊作に恵まれたためである。  さらに、 世界的に穀物需給がタイトな状況から国際価格が高値で推移している ことも加わって、 小麦の輸出金額は前年度より80%増の約30億豪ドル (約2,458 億円) に達するなど、 穀物全体の輸出金額は前年度より76%増の46億豪ドル (約 3, 768億円) と大幅な伸びを記録すると見込まれていることが農産物輸出額の大 幅な伸びの最大の要因となっている。  また、 酪農部門では、 生乳生産のピークに当たる春季 (9〜11月) に天候に恵 まれたことや、 東南アジア諸国を中心とする順調な乳製品需要に支えられ95/96 年度の生乳生産量は前年度より5%増の86億リットルに、 また、 乳製品の輸出金 額は、 39%増の19億豪ドル (約1, 556億円) に達する見通しである。  一方、 これとは対照的に牛肉部門は、 米国のキャトルサイクルがピークに差し 掛かっているため、 95/96年度の米国向け輸出量は前年度より約24%減の19万ト ンに落ち込み、 期待の日本向けもほぼ前年同の33万トンにとどまるとみられてい ることから、 全体の輸出量は8%減の72万トン、 輸出金額でも6%減の27億豪ド ル (約2, 211億円) と見込まれている。  羊毛部門は、 再び国際価格が下落していることから95/96年度の輸出量は7% 減の78万トン、 輸出金額は20%減の33億豪ドル (約2, 703億円) と見込まれてい る。 (2) 農家所得  95/96年度の一農家当たりの平均現金収入は、 前年度より40%増の55, 200豪 ドル (約452万円) に達すると見込まれている。 しかしながら、 生産する農産物 の国際市況や干ばつ被害からの立ち直りの状況が異なることから、 経営形態や 地域によって大きな格差が生じるとみられている。  例えば、 小麦/穀物農家の現金収入は前年度より2.2倍の138,300豪ドル (約 1, 133万円)、 酪農家は28%増の66,800豪ドル (約547万円) へ上昇が見込まれ ているのに対して、 肉用牛農家は25%減の17, 400豪ドル (約143万円)、 羊農家 は11%減の27, 400豪ドル (約224万円) に低下が見込まれ、 それぞれの農産物の 輸出環境などによって明暗がはっきり分かれるものになった。  また、 地域別では各州とも前年度の現金収入を上回るものの、 小麦などの穀物 生産が主体であるウェスタンオーストラリア州、 サウスオーストラリア州では、 97,800豪ドル (約801万円)、 70,000豪ドル (約573万円) と豪州平均を上回り、 逆に肉牛生産の主体を成すクィーンズランド州、 ニューサウスウェールズ州では、 それぞれ39,900豪ドル (約327万円)、 50,000豪ドル (約410万円) と平均を下 回る見込みとなっている。 経営形態別農家所得                    (単位:豪ドル) ────────────────────────────────────   経営形態 93/94年度 94/95年度 95/96年度(見込み) ──────────────────────────────────── 小麦/穀物農家 78,830( 95.6)  62,500( 79.8) 138,300(221.3) ──────────────────────────────────── 畜産/穀物農家 38,770( 99.4) 51,900(133.9) 93,100(179.4) ──────────────────────────────────── 羊農家 11,490(171.4) 30,800(268.1) 27,400( 89.0) ──────────────────────────────────── 肉牛農家 44.330(178.8) 23,100( 52.1) 17,400( 75.3) ──────────────────────────────────── 羊/肉牛農家 22,430(190.8) 32,300(144.0) 24,600( 76.2) ──────────────────────────────────── 酪農家 54,920(103.8) 52,110( 94.9) 66,800(128.2) ──────────────────────────────────── 全農家平均 39,830(131.3) 37,600( 94.4) 52,500(139.6) ────────────────────────────────────

2 肉用牛産業の見通し

 牛肉産業は、 干ばつにより多くの繁殖雌牛がと畜に向けられたこと、 飼料穀物 価格が高値で推移してきたこと、 さらに米国の生産過剰の煽りを受け海外市場で 苦戦を強いられたことなどから生産減を余儀なくされてきたが、 ABAREでは、 牛 肉生産の減少は95/96年度で底を打ち、 その後緩やかに回復に転じると見通して いる。 表1 豪州における牛肉需給の見通し ──────────────────────────────────── 区 分 単 位 93/94 94/95 95/96 96/97 97/98 (暫定値)(予測値)(見通し)(見通し) ──────────────────────────────────── 牛生体取引価格 名 目 セント/Kg 233 209 213 222 239 実 質 セント/Kg 249 217 213 214 224 飼養頭数(1) 百万頭 25.8 25.5 25.8 26.0 26.3 うち肉牛頭数 百万頭 23.1 22.9 23.0 23.1 23.4 と畜頭数 千頭 8,282 8,267 7,750 8,020 8,300 枝肉生産量 千トン 1,825 1,803 1,700 1,765 1,850 一人当たり消費量 Kg 37.6 36.3 35.8 36.1 36.1 小売価格(2) セント/Kg 1,055 1,039 1,033 1,039 1,061 輸出額 百万ドル 3,133 2,849 2,671 2,940 3,236 輸出量(3) 千トン 788 785 722 760 810 米 国 千トン 285 251 190 190 198 日 本 千トン 301 322 327 340 358 韓 国 千トン 53 70 68 82 100 生体牛輸出頭数 千頭 257 396 540 600 640 価 格(4) 米セント/Kg 262 214 183 186 195 ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── 区 分 単 位 98/99 99/2000 2000/01 (見通し) (見通し) (見通し) ──────────────────────────────────── 牛生体取引価格 名 目 セント/Kg 253 267 292 実 質 セント/Kg 230 235 250 飼養頭数(1) 百万頭 26.6 26.7 27.1 うち肉牛頭数 百万頭 23.6 23.7 24.0 と畜頭数 千頭 8,680 8,870 9,160 枝肉生産量 千トン 1,940 2,010 2,100 一人当たり消費量 Kg 36.0 35.8 35.6 小売価格(2) セント/Kg 1,075 1,089 1,117 輸出額 百万ドル 3,683 3,970 4,617 輸出量(3) 千トン 870 915 975 米 国 千トン 210 222 234 日 本 千トン 380 398 414 韓 国 千トン 118 137 183 生体牛輸出頭数 千頭 660 680 700 価 格(4) 米セント/Kg 205 216 228 ──────────────────────────────────── 注:(1)3月末現在 (2)95/96年度のドル価格による実質価格 (3)船積数量 (4)カウビーフ(赤身率90%)の米国着価格 資料:ABS、AMLC、ABARE (1) 供 給  91年に発生した干ばつは、 豪州の主要な肉牛生産地帯に当たるクィーンズラン ド州とニューサウスウェールズ州北部を中心に大きな被害をもたらしたことから、 95年3月末の肉牛頭数は、 2, 300万頭を割り込み2, 285万頭に減少した。  しかしながら、 96年以降肉牛頭数は緩やかな増加に向かい、 2001年には95年よ り5%増の2, 400頭に達すると見込まれており、 これは80年代前半の高い水準に 相当する。  ただし、 今後の羊毛価格の動向によっては、 農家が肉牛経営から羊経営にシフ トする可能性も考えられ、 また、 近年急速に拡大している生体牛の輸出の状況に よっては、 この見通しを下回ることも予想されている。  一方、 95/96年度のと畜頭数は、 主要生産地帯であるクィーンズランド州で前 年より13%も減少したことから、 豪州全体でも前年度より6%減の775万頭と8 百万頭台を割り込むとみられている。 その主要因は干ばつの終息に伴い、 肉牛農 家が縮小した牛群を再構築するため肉牛を保留したことによる。 しかしながら、 それ以降のと畜頭数は、 年率3%前後の伸びで増加し、 2000/01年度には、 現在 (94/95年度) より11%増の916万頭に達すると見込まれている。  と畜頭数の減少によって95/96年度の枝肉生産量は、 前年度より6%減の170 万トンに落ち込むとみられている。 しかしながら、 その後はと畜頭数の拡大に加 え、 一頭当たりの枝肉重量が増加することから、 99/2000年に200万トンを突破 し、 2000/01年には現在より16%増の210万トンに達すると見込まれている。 (2) 価 格  95/96年度の肉牛価格は、 前年度よりさらに2%下落し213セント/kgに低迷 すると見込まれている。 これは、 米国産牛肉の生産過剰の煽りを受け、 主要な海 外市場からの需要減退が大きく影響している。 このような状況は96/97年度も継 続し、 価格の回復は米国のキャトルサイクルがピークから下降局面に向かうこと が予想される97/98年度以降とみられている。 その後は、 米国の牛肉生産が減少 することや、 アジア諸国から一定の需要拡大が見込まれることから、 豪州の生産 は拡大するものの需給は徐々に引き締まり、 2000/01年度の肉牛価格は17%上昇 し、 250セント/kgと見込まれている。  なお、 韓国は、 2001年に牛肉の輸入自由化に移行することから、 このことが肉 牛価格に何らかのインパクトを与えることも予想されている。 (3) 国際市場の見通し  90年代当初までの豪州の牛肉輸出は、 巨大な牛肉消費国である米国市場と日本 を中心としたアジア市場からの急速な需要増大に支えられ順調に拡大し、 92/93 年度には81万トン (船積ベース) に達した。  しかしながら、 それ以降は、 干ばつによる国内生産の低迷、 米国の生産過剰に よる対米向け輸出不振、 対日輸出価格の低迷などに直面し停滞を余儀なくされ、 93/94年度は78万8千トン、 94/95年度は78万5千トンと80万トンを下回る水準 で推移し、 95/96年度はさらに前年度より8%減の72万2千トンまで落ち込むと 見込まれている。  今後の見通しにおいては、 日本の関税率引き下げ、 韓国の輸入枠拡大などアジ ア諸国を中心とした輸入需要の拡大を背景に年率5〜6%の割合で着実に増加し、 2000/01年度には現在より24%増の97万5千トンと100万トンに近い水準に達す ると見込まれている。  なお、 輸出相手国のシェアを94/95年度と2000/01年で対比してみると、 日本 が41%から42%とほぼ横ばい、 米国が32%から24%と減少するのに対し、 韓国が 9%から19%と大幅なシェア拡大を見込んでおり、 今後一層アジア諸国の重要性 が増すとみられている。 @ 日 本  95/96年度の輸出量は、 米国の生産拡大による対日輸出攻勢に押されたことな どから、 ほぼ前年同の32万7千トンにとどまるとみられている。 一方、 米国から の対日輸出数量は約20%の伸びをみせており、 日本市場での豪州産牛肉の占有率 は、 94/95年度の53%から95/96年度には49%と過半を割るものとみられている。  対日輸出の回復は、 96年の後半以降とみられており、 97年前半まで米国の供 給過剰が続くことや、 為替レートが豪ドル高に進むことも見込まれ、 96/97年度 の輸出環境は、 引き続き厳しいと予想されている。  その後は、 米国産牛肉との競合が緩和されること、 関税率が毎年引き下げられ ること、 為替レートが再度円高に転ずると見通されることなど輸出環境が好転す ることに加え、 根強い牛肉需要に期待していることなどから年率4〜6%の割合 で拡大し、 2000/01年には現在より29%増の41万4千トンと40万トンの大台を突 破すると見込んでいる。  この結果、 2000/01の輸出シェアは、 米国の地位が低落する一方、 日本市場が 4割強を占め他国を圧倒することとなり、 輸出国の中核を成すことになりそうで ある。  なお、 日本の牛肉消費の見通しに関しては、 小売価格の引き下げによって消費 者の牛肉購買意欲は増し、 輸入牛肉の需要はさらに拡大していくとみている。 A 米 国  対米向け輸出量は、 91/92年度の37万7千トンをピークに減少し、 94/95年度 は25万1千トン、 95/96年度はピーク時のほぼ半減に相当する19万トンにとどま るとみられている。 この間、 対米向け輸出シェアは、 91/92年度の47%から95/ 96年度には26%に減少すると見込まれている。  一方、 米国の牛肉輸出をみると、 93年は49万5千トンであったが、 95年には35 %増の66万7千トンに達し、 特に日本、 韓国市場への輸出増が目立っている。 96 年の輸出量は、 さらに8%増の71万8千トンに達するとみられ、 その多くは環太 平洋諸国に向けられることから、 これらの国々で豪州産牛肉との競合はますます 激しくなるとみられている。  96年の米国の牛肉生産量は、 キャトルサイクルのピークに差し掛かっているこ とから、 95年よりもさらに約3%増加するとみられており、 供給過剰は97年まで 続くとみられている。 しかしながら、 96年の穀物生産量は、 前年より21%減と見 込まれていることから穀物価格は堅調に推移しており、 96年後半以降のフィード ロット頭数は減少すると見込まれている。  このような状況から、 対米向け輸出の低迷は96/97年度まで続き、 回復は97/ 98年以降とみられ、 2000/01年には23万4千トンまで回復すると見込まれている。  なお、 豪州は、 米国に対して37万8千トンの牛肉関税割当が保証されているが、 2000/01年までは、 この数量にはるか及ばないとみられている。 B 韓 国  ここ数年、 豪州産牛肉は韓国市場においても苦戦を続けてきた。 91/92年度の 輸出量は約10万トンであったが、 その後豪州では干ばつによる生産減もあり、 グ レインフェッド牛肉は米国に、 グラスフェッドはニュージーランドにシェアを奪 われるなど、 93/94年度の輸出量は5万3千トンと91/92年度の半減になった。  今後の見通しにおいては、 韓国は、 最も輸出拡大が期待される市場とされてい る。 同国は、 2001年に牛肉の輸入自由化を決定しており、 その間、 輸入割当数量 を95年の12万2千トンから2000年には22万5千トンへ、 さらに自由化までの間、 SBS (売買同時入札) 方式による取扱量を拡大することを約束している。 このよ うな市場アクセスの改善により豪州産牛肉に対する需要は拡大するとみており、 99/2000年度の輸出量は13万7千トンと94/95年度水準の95%増を見込んでいる。 C 南 米  かねてから南米諸国の口蹄疫清浄化の動きは、 豪州にとって大きな関心事のひ とつであったが、 昨年11月、 米国はウルグアイを口蹄疫非汚染国として認定し、 2万トンの低率関税枠を設定した。 また、 アルゼンチンの一部地域においても、 口蹄疫の撲滅が達成されたといわれており、 今年中にも米国から同様の認定を受 け、 2万トンの低率関税が設定されるとみられている。 一方、 ブラジルは口蹄疫 撲滅がなかなか進まず、 まだ時間を要するとみられているものの、 一部地域にお いては、 かなり清浄化が進んでいるともいわれている。  これらの国々の牛総飼養頭数は、 ウルグアイが970万頭、 アルゼンチンが5,700 万頭、 ブラジルが1億5千万頭と合計で2億頭以上と壮大な規模を有しており、 牛肉輸出の潜在能力はかなり高いとみられている。  また、 これらの南米諸国は、 良質かつ豊富な牧草を利用したグラスフェッド牛 肉の生産が主体であり、 また、 食肉加工コストも低廉なことから海外市場での価 格競争力もかなり強いとみられ、 特に、 米国市場での加工用牛肉の分野で豪州産 牛肉と直接的に競合するとみられている。  さらに、 将来的には豊富な素牛に加え、 飼料穀物の供給も問題ないことからフ ィードロットの建設も予定されており、 グレインフェッド牛肉においても米国、 豪州と競合する可能性もでてきている。  いずれにしても、 今後これらの国々での口蹄疫清浄の進展状況によっては、 世 界の牛肉貿易に大きな影響をもたらすことは確実で、 豪州の牛肉産業の将来を占 う上でも、 南米諸国の動向は目を離せないものとなってきている。 (4) 今後も伸びが期待される生体牛輸出  最近の牛肉輸出不振とは対照的に、 生体牛の輸出頭数は、 89/90年度の9万4 千頭から94/95年度には39万6千頭と4倍以上に跳ね上がった。 主要な輸出国は インドネシア、 フィリピンで、 輸出頭数はそれぞれ18万5千頭、 15万1千頭と両 国で全体の85%を占めている。 この間、 と畜数に対する生体牛輸出の割合は、 90 年が1. 4%であったのが、 95年には7%に上昇している。  このような生体牛輸出の拡大要因としては、 両国のフィードロット産業が急速 に成長してきたことによる素牛需要の増大に加え、 豪州サイドでは干ばつによる 牧草不足が生体牛輸出を助長したこと、 牛肉輸出不振による肉牛価格の低迷によ って、 相対的に生体牛輸出の価格のほうが農家にとって有利であったことなどが 挙げられている。 さらに、 輸出向け生体牛は、 18〜22ヵ月齢を対象としており、 と畜販売よりかなり若齢なことから、 農家にとっては、 家畜の回転率の向上や運 搬効率を高めるというメリットもあるようだ。  フィリピン、 インドネシアでは現在の牛肉消費レベルが低く、 今後の経済発展 による牛肉消費増大が期待できることから、 生体牛輸出は引き続き拡大し、 2000 /01年度の輸出頭数は、 現在より77%増の70万頭に達すると見込んでいる。 しか しながら、 豪州サイドでは、 干ばつ終息に伴う農家の肉牛保留意欲が高まること から肉牛価格の上昇が見込まれ、 生体牛輸出業者のマージンが減少することから、 今後の輸出頭数は過去5年間ほどの急速な拡大は期待できないとみている。 気になる今後の穀物価格  近年、 日本向け牛肉輸出を中心として急成長してきたフィードロット産業は、 干ばつによる飼料穀物価格の上昇に直面し、 厳しい経営を迫られた。 そのような ことから、 今後の飼料穀物の需給や価格動向は、 牛肉産業にとって重要なポイン トとされている。  ABAREでは、 2001/01年度までの穀物生産の見通しについて、 気象条件に大き く左右されるとしながらも、 小麦が1, 500万トン〜1, 700万トン、 大麦、 ソルガ ムなどの飼料穀物の合計が700万トン〜900万トンのレベルで推移すると見込んで いる。 また、 飼料用の大麦価格は、 95/96年度の193豪ドル/トンから96/97年 度以降は150〜170豪ドル/トンのレベルで推移すると見込んでおり、 従来のよう な110豪ドル/トン前後の価格まで引き下がる可能性は低いとみている。 豪州における飼料穀物の需給見通し ──────────────────────────────────── 区 分 単 位    93/94 94/95 95/96 96/97    (暫定値) (予測値) (見通し) ──────────────────────────────────── 作付面積 小 麦 千ヘクタール   8,383 8,003 9,851 10,281 大 麦 千ヘクタール 3,424 2,502 3,197 3,135 ソルガム 千ヘクタール 493 502 662 550 えん麦 千ヘクタール 996 937 1,055 1,023 とうもろこし 千ヘクタール 44 56 68 58 小麦生産量 千トン 16,479 8,903 17,053 17,396 うち輸出量 千トン 12,910 7,892 12,373 12,700 飼料穀物生産量 大 麦 千トン 6,956 2,791 5,573 5,080 ソルガム 千トン 931 1,015 1,356 1,097 えん麦 千トン 1,651 897 1,675 1,450 とうもろこし 千トン 249 259 339 246 合 計  (1) 千トン 10,049 5,080 9,206 8,129 国内向け(2) 千トン 4,885 3,442 5,192 5,400 輸出向け 千トン 4,963 2,620 3,318 2,729 飼料用大麦価格(3) 豪ドル/トン 110 220 193 157 ──────────────────────────────────── ──────────────────────────────────── 区 分 単 位    97/98 98/99 99/2000 2000/01 (見通し) (見通し) (見通し) (見通し) ──────────────────────────────────── 作付面積 小 麦 千ヘクタール   9,816 9,361 9,251 9,121 大 麦 千ヘクタール 3,100 3,075 2,934 2,800 ソルガム 千ヘクタール 600 605 610 615 えん麦 千ヘクタール 970 920 860 800 とうもろこし 千ヘクタール 59 60 61 63 小麦生産量 千トン 16,729 16,054 15,953 15,787 うち輸出量 千トン 12,500 12,700 11,500 11,400 飼料穀物生産量 大 麦 千トン 5,070 5,000 4,899 4,721 ソルガム 千トン 1,212 1,236 1,260 1,282 えん麦 千トン 1,388 1,330 1,255 1,179 とうもろこし 千トン 254 263 272 307 合 計  (1) 千トン 8,168 8,077 7,938 7,744 国内向け(2) 千トン 5,504 5,791 6,074 6,317 輸出向け 千トン 2,664 2,286 1,864 1,427 飼料用大麦価格(3) 豪ドル/トン 146 154 161 165 ──────────────────────────────────── 注:(1)合計はその他の飼料穀物を含む (2)国内向けは在庫量を含む (3)95/96年度の豪ドル価格による実質価格 資料:ABARE

3 酪農産業の見通し

 最近の豪州酪農は、 乳製品の国際市況が良好に推移する中、 急速に成長してい る。 生乳生産量は、 ここ4年間で28%増と順調な拡大を遂げているが、 その増加 分のほとんどは輸出用乳製品向けである。 特に、 東南アジア諸国は、 従来から豪 州の伝統的な乳製品市場であるが、 近年の乳製品需要の増大は目覚ましいものが あり、 輸出拡大の原動力となっている。  今後は、 UR合意に基づく市場アクセスの改善や輸出補助金のさらなる削減など による効果が徐々に現れるとみられており、 2000/01年度までの酪農産業の見通 しは明るいものとなっている。 豪州における酪農及び乳製品の需給見通し ──────────────────────────────────── 区分 単位 93/94 94/95 95/96 96/97 97/98 (暫定値) (予測値) (見通し) (見通し) ──────────────────────────────────── 経産牛頭数(1) 千 頭 1,786 1,807 1,856 1,908 1,955 一頭当たり乳量 リットル 4,522 4,541 4,634 4,767 4,890 生乳生産量 全 体 百万リツトル 8,077 8,206 8,600 9,095 9,560 飲用乳 百万リットル 1,810 1,833 1,860 1,887 1,915 加工原料乳 百万リットル 6,267 6,373 6,740 7,208 7,645 農家販売価格 飲用乳 名 目 セント/リットル 46.2 47.8 49.6 51.3 53.0 実 質(2) セント/リットル 49.4 49.8 49.6 49.3 49.6 加工原料乳 名 目 セント/リットル 21.1 20.3 23.5 24.7 25.7 実 質(3) セント/リットル 22.5 21.2 23.5 23.9 24.0 乳製品生産量 バター 千トン 143 135 152 165 175 チーズ 千トン 234 216 230 235 249 脱脂粉乳 千トン 207 197 215 235 249 輸出量 バター 千トン 92 86 96 102 107 チーズ 千トン 99 116 125 121 124 脱脂粉乳 千トン 165 174 180 191 200 輸出価格 名 目 百万豪ドル 1,273 1,383 1,926 2,098 2,306 実 質(2) 百万豪ドル 1,361 1,440 1,926 2,027 2,158 国際指標価格 バター 名 目 米ドル/トン 1,325 1,643 2,229 2,318 2,388 実 質(4) 米ドル/トン 1,401 1,689 2,229 2,251 2,251 脱脂粉乳 名 目 米ドル/トン 1,482 1,981 2,238 2,328 2,444 実 質(4) 米ドル/トン 1,567 2,037 2,238 2,260 2,304 チーズ 名 目 米ドル/トン 1,760 1,879 2,215 2,304 2,373 実 質 米ドル/トン 1,891 1,932 2,215 2,237 2,237 ──────────────────────────────────── ──────────────────────────── 区 分 単 位 98/99 99/2000 2000/01 (見通し) (見通し) (見通し) ──────────────────────────── 経産牛頭数(1) 千 頭 2,005 2,050 2,090 一頭当たり乳量 リットル 5,022 5,141 5,254 生乳生産量 全 体 百万リツトル 10,070 10,540 10,980 飲用乳 百万リットル 1,943 1,972 2,001 加工原料乳 百万リットル 8,127 8,568 8,979 農家販売価格 飲用乳 名 目 セント/リットル 54.6 56.4 58.2 実 質(2) セント/リットル 49.6 49.7 49.8 加工原料乳 名 目 セント/リットル 26.5 27.3 28.1 実 質(3) セント/リットル 24.0 24.0 24.0 乳製品生産量 バター 千トン 187 198 209 チーズ 千トン 266 282 298 脱脂粉乳 千トン 266 282 298 輸出量 バター 千トン 113 120 127 チーズ 千トン 126 129 133 脱脂粉乳 千トン 212 225 239 輸出価格 名 目 百万豪ドル 2,506 2,719 2,949 実 質(2) 百万豪ドル 2,277 2,397 2,524 国際指標価格 バター 名 目 米ドル/トン 2,412 2,424 2,448 実 質(4) 米ドル/トン 2,207 2,154 2,112 脱脂粉乳 名 目 米ドル/トン 2,518 2,568 2,619 実 質(4) 米ドル/トン 2,304 2,282 2,259 チーズ 名 目 米ドル/トン 2,444 2,493 2,543 実 質 米ドル/トン 2,237 2,215 2,194 ─────────────────────────── 注:(1)3月末現在 (2)95/96年度の豪ドル価格による実質価格 (3)バターオイル等を含む (4)95/96年度の米ドル価格による実質価格 (1) 生乳生産量は100億リットルを突破  95/96年度の生乳生産量は、 経産牛頭数が前年より2. 7%増加することや、 天 候が正常なら一頭当たりの乳量が2%伸びることから、 前年度より4. 8%増の86 億リットルと見込まれている。  また、 今後の見通しについては、 引き続き良好な輸出環境が継続するとみられ ており、 生乳生産量は年率4〜6%の割合で着実に増加し、 2000/01年度には現 在より34%増の110億リットルと100億リットルの大台を突破すると見込まれてい る。 その仕向先をみると、 飲用向け生乳は現在より9%増の20億リットル、 加工 向け生乳は41%増の90億リットルとなり、 飲用向けと加工向けの比率は、 現在の 22%:78%から18%:82%と、 さらに加工向けの比率が高まるとみられている。  ABAREでは、 このような生産拡大は、 経産牛頭数の拡大と一頭当たりの乳量拡 大の両面によってもたらされるとみている。  経産牛頭数は、 93年以降、 酪農の収益性が向上したことから増加に転じ、 95年 には181万頭になった。 なお、 この間の酪農家戸数は一貫して減少しており、 経 産牛頭数の増加は酪農家の規模拡大に起因するものである。  今後も経産牛頭数は増加傾向で推移し、 98/99年度には再び200万頭を突破し、 2000/01年には209万頭に達するとみられている。  また、 一頭当たりの乳量は、 94/95年度の4, 541リットルから2000/01年度に は16%増の5, 254リットルに増加すると見込まれている。 この乳量増加は、 全般 的な飼養管理技術の向上によるものであるが、 具体的には、 濃厚飼料の給与割合 が増加することや育種改良による能力アップ、 草地の改善などに起因するとみら れている。 (2) 生産者乳価はおおむね横ばい  95/96年度の加工向け乳価は、 前年度より約11%上昇して23. 5セント/リッ トルになると見込まれている。 乳価が上昇した要因は何と言っても乳製品の国際 市況が上昇したことによるが、 豪ドルの対米ドルに対する為替レートが強含みで 推移していることから、 その上昇幅はかなり緩和されている。  2000/01年までの加工向け乳価をみても、 乳製品の国際価格は上昇するものの、 豪ドルレートがさらに強含みで推移し相殺されることから、 大幅な上昇を期待す ることはできず、 実質24. 0セント/リットル前後で推移するとみられている。  一方、 2000/01年度までの飲用向け乳価も、 49. 8セント/リットルと、 ほぼ 現行の水準で推移するとみられている。 (3) 乳製品生産量は軒並み増加  95/96年度の乳製品の生産量は、 生乳生産のピーク時に当たる春季の天候に恵 まれたことから、 バターが前年度より13%増の15万2千トン、 チーズが6%増の 23万トン、 脱脂粉乳が9%増の21万5千トンに拡大すると見込まれている。  最近の乳製品の国際市況は、 世界的に乳製品の在庫水準が低レベルにあること、 一昨年以降EU諸国が再三にわたり輸出補助金を削減したこと、 東南アジア諸国か ら順調に需要が拡大していることなどから堅調に推移してきた。  特に、 豪州にとって地理的に近い東南アジア諸国は、 経済発展による所得の向 上と食文化の西洋化によって乳製品需要は急速に増加しており、 また、 これらの 国々では、 国内の生産振興を図っているものの急増する需要を満たすことは当分 の間難しいとみられていることから、 注目すべき市場とされている。  今後、 UR合意による市場アクセス改善や輸出補助金のさらなる削減などによっ て、 乳製品の国際市場における豪州の地位は優位なものになるとみられている。  このような状況から、 豪州にとって当分の間、 良好な輸出環境が継続するとみ られており、 2000/01年度の主要乳製品の生産量は、 バターが現在より55%増の 20万9千トン、 チーズが38%増の29万8千トン、 脱脂粉乳が51%増の29万8千 トンに拡大すると見込まれている。 輸出金額についても、 現在の14億4千万豪ド ル (約1, 180億円) から75%増の25億2千4百万豪ドル (約2, 068億円) に達す ると見込まれている。 (4) 国際価格は引き続き良好な見通し  ABAREでは、 豪州国内の生産・輸出見通しと同様に、 2000/01年までの乳製品の 国際指標価格についての見通しも策定している。  これによれば、 輸出補助金の削減、 東南アジア諸国を中心とする乳製品需要拡 大を背景に、 国際指標価格は今後も上昇し、 2000/01年度には95/96年度 (見込 み) よりバターが10%増の2, 448米ドル/トン、 脱脂粉乳が17%増の2, 259米ド ル/トン、 チーズが15%増の2, 543米ドル/トンに達すると見込んでいる。  しかしながら、 豪ドルの米ドルに対する為替レートがこれらの上昇率を上回る 15〜16%の上昇を見込んでおり、 実質的な豪州からの輸出価格は、 ほぼ横ばいで 推移するとみられている。 その結果、 加工向け乳価は、 乳製品の国際価格が上昇 するにもかかわらず、 ほぼ横ばいで推移するとみられている。 (5) 2000年の乳製品輸出はオセアニアが中心  豪州とニュージーランドの酪農は、 世界的にみて生産コストが低く、 国際競争 力は強いと言われている。 しかしながら、 これまでEU諸国などからの補助金付き 乳製品輸出によって海外市場でのシェア拡大が果たせず、 また輸出価格において もEU諸国に相場形成の主導権を握られてきた。  ただ、 今後、 UR合意による輸出補助金の量的、 価額的削減がさらに進展するこ とによってEU諸国は輸出競争力を失い、 相対的に豪州とニュージーランドの国際 市場における地位が向上するとみられている。  現に、 91年と95年の乳製品貿易における輸出国のシェアを比較すると、 EU諸国 が52%から49%と過半を割ったのに対し、 オセアニア (豪州とニュージーランド の合計) が31%から40%と着実に増加してきた。  さらに、 ABAREの見通しによれば、 2000年のシェアはEU諸国が45%に対しオセ アニアが46%とEU諸国を超えるものと見込んでおり、 乳製品の国際貿易における オーストラリアとニュージーランドの影響力はますます強まるとみられている。 (6) 規制緩和の流れの中での豪州酪農  ガット・ウルグアイラウンドの合意内容が昨年から実行に移されたことから乳 製品の国際貿易は規制緩和の流れに動き出した。 一昨年来、 EU諸国では、 再三に わたり輸出補助金の削減を実施したことから、 乳製品の国際価格に好影響をもた らしてきた。 しかしながら、 世界の乳製品貿易は規制緩和の入口に差し掛かった ところで、 現段階ではEUや米国からの補助金付き乳製品の輸出、 主要国にみられ る輸入制限、 高率関税などの国境措置、 価格支持政策、 生産調整などの国内保護 措置によって、 いまだ国際需給を反映したものとは言えない状況にある。  2001年を展望した場合、 完全な規制緩和 (自由貿易) の実施は難しいものの、 UR合意内容が着実に実施されていけば、 乳製品の輸出環境はかなり改善され、 国 際貿易は活発なものになると予想されている。  また、 先に大阪で開催されたAPEC (アジア太平洋経済協力会議) 首脳会議で、 貿易と投資の包括的自由化を実施するための 「行動指針」 が採択されたことから、 自由貿易体制への進展は強まるものと期待されている。  このような流れの中、 豪州の乳業メーカーなどの間では、 既に将来を見越した 活発な販売戦略を繰り広げている。  その一つは、 かつてないような大規模な設備投資を展開している点で、 新たな チーズプラントや粉乳製造のためのスプレー・ドライヤーの増設や新設が相次ぎ、 さらに貯乳施設、 冷蔵施設、 配送センターなどの充実が急速なピッチで進められ ている。  もう一つは、 東南アジア諸国を中心とした販売戦略を展開するための拠点づく りや合弁事業などが着々と進められている点である。  このような、 乳業メーカーなどにみられる積極的な投資の背景には、 規制緩和 の浸透によって、 東南アジア諸国をはじめとする魅力ある市場への輸出機会が増 大し、 短期間のうちに投資の回収が見込めるためとみられている。
◇乳製品輸出国別の輸出シェア◇

おわりに

 牛肉産業、 酪農に関するABAREの見通しは、 短期的には牛肉産業に停滞はみら れるものの、 中期的には生産及び輸出の拡大など明るいものになっている。  こうした見通しに対して業界の反応はさまざまであるが、 おおむね肯定的な見 方をしているようだ。  しかしながら、 業界にとっても決して順風満帆というわけではなく、 今後越え なければならないハードルもある。  例えば、 牛肉産業においては、 一昨年発生した牛肉の農薬残留問題などに端を 発し、 品質保証に関する議論が高まっている点や、 豪州産牛肉に対してわかり易 い品質規格の設定を求める声が強まっている点で、 いずれも国の内外を問わず消 費者の信頼性を高めていくうえで避けて通れない問題となってきている。  一方、 酪農産業においては、 国内飲用乳の流通規制が98年7月から全面的に撤 廃されることとなっており、 流通段階のみならず生産段階まで影響を及ぼすこと も考えられており、 これをどのように克服していくかが一つの課題とされている。  いずれにしても、 21世紀に向けてWTO、 APECなど世界の貿易体制が自由化の流 れの中、 豪州の農産物貿易は拡大の方向に向かうものとみられ、 豪州農業はさら なる発展が期待できそうである。
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