APECは豪州農業の繁栄を約束か? (豪州)



 

輸出の77%、 輸入の67%をAPECに依存

 豪州にとってAPEC経済圏は、 輸出の77%、 輸入の67%を占める重要な貿易経済 圏となっている。 このため、 昨年11月にAPEC大阪会合で採択された 「行動指針」 に示されたAPEC圏内の貿易と投資の包括的自由化が、 どのような形で実現される かは、 豪州経済の将来を大きく左右するものとして注目されている。

農産物を含めた 「包括的自由化」 が課題へ

 2月に開催された96年の農業観測会議 (Outlook '96) では、 豪州農業資源経 済局 (ABARE) が、 APEC 「合意」 がもたらす経済効果をシミュレーションにより 分析した結果が報告された。  それによると、 APEC地域で貿易障壁が撤廃されることにより、 すべてのAPECメ ンバー国で個人収入の増加がもたらされ、 国民総支出 (GNE) も増加するとされ ている。 また、 豪州のGNEが、 2020年には94年度より67億ドル (0.7%) 増加する とされているが、 農産物を包括的自由化から除外した場合には、 この額が半分以 下に低下すると試算されている。 この結果は、 豪州農業が輸出依存型であるとい う特徴を考えれば当然とも言えるが、 包括的自由化に農産物を含めることが、 豪 州にとって非常に重要であり、 APEC会合においては、 今後とも自由化の基本原理 として対象産品の包括性を維持していくことが課題であると締めくくっている。

食肉関税撤廃で食肉生産額が大幅増加

 また、 農業観測会議では、 豪州食肉畜産公社 (AMLC) も、 食肉分野におけるAP EC 「合意」 履行の経済効果について報告を行った。 これによると、 APEC圏で食肉 関税が撤廃された場合には、 豪州食肉産業の生産額が少なくとも約17億ドル (約 1千4百万円) 増加すると試算されている。 ◇欧州
元のページに戻る