拡大するベトナムの畜産



 ベトナムは、 80年代後半から始まった 「ドイモイ (刷新) 」 政策による改革・

開放の進展により、 順調な経済発展を続けている。 このため、 国民の生活様式は

徐々に変化しており、 食肉や乳製品など畜産物に対する需要も年々増加しつつあ

る。 それに伴い、 畜産物の生産も急速に拡大している。 



 

畜産の概要

 ベトナムの畜産物生産は、 従来、 自家消費を中心として、 主に庭先飼育で行わ れてきたが、 ドイモイによる市場経済の導入により、 商業的販売を目的とした大 規模かつ企業的なものへと次第に変化している。 このため、 ここ数年間で家畜の 飼養頭羽数は大きく増加し、 昨年には、 豚、 鶏がそれぞれ16百万頭、 1億2千万 羽となった。 さらに今年は、 それぞれ17百万頭、 1億5千万羽に増頭羽すると見 込まれており、 食肉生産量も、 豚肉、 鶏肉あわせて、 昨年を20万トン上回る、 150 万トンに達すると予測されている。 また、 乳製品では、 従来から需要の強いコン デンスミルクを中心に、 牛乳、 アイスクリームなどが大きく伸びているが、 原料 の国内生産が高まる需要に追いつかず、 原料の約半分を輸入に頼っている状況に ある。

養鶏はメコンデルタ地域が中心

 これらベトナムの畜産は、 メコンデルタを中心とする南部に広く展開している。 同地域で畜産に欠かせない飼料原料が生産されていることが主な理由であるが、 養鶏については、 同地域でかつて展開していた米国式大規模養鶏場の施設が、 現 在も活用されていることも一因となっている。 特に、 南部の中心であるホーチミ ン市近郊は、 一大鶏肉供給地となっており、 フランスや米国から輸入した種鶏に より、 多数の養鶏企業が進出している。 また、 最近の同国における鶏肉消費が、 価格からの品質重視へと変化していることから、 養鶏業組合を中心に、 海外から の優良品種の導入が積極的に進められている。

畜産基地の整備を計画

 また、 この地域では、 政府の積極的な外資導入政策により、 飼料生産や養鶏部 門への外国企業の誘致が行われており、 国内への安定供給とともに、 輸出を目的 とした畜産基地の整備が進められている。 ベトナムの畜産物消費は、 今後数年間 で現在の2〜3倍になることが予想されていることから、 高まる需要に対応する ため、 国内各地でこのような畜産基地の整備が計画されている。
元のページに戻る