上下両院が95年農業法案を可決 (米国)





上下両院、 それぞれ独自の農業法案を可決

 95年農業法案は、 その審議が難航したことから、 これを予算調整法案に組み込 んで成立を目指すという変則的な方法がとられて、 昨年11月に議会を通過した。 しかしながら、 大統領が予算調整法案に拒否権を発動したため、 農業法関連も未 成立のまま年を越すこととなり、 その後も、 同法案をめぐって、 政府と議会の間 で妥協が成立しなかったことから、 農業法関連も棚ざらし状態が続いた。  こうしたことから、 議会では、 農業法案を予算調整法案から切り離して審議す る気運が盛り上がり、 2月末までに、 上下両院は、 それぞれ異なる農業法案を可 決した。 議会がこの動きに出たのは、 新農業法の行方が定まらない状況下で、 春 の作付け時期が迫り、 穀物生産者の間に動揺が起こる懸念が出てきたためである。

下院案には酪農関連規定が盛り込まれる

 今回可決された上下両院の農業法案は、 ともに、 価格支持制度を段階的に廃止 して一定の補償金に置き換えるという、 デカップリング政策への移行を柱として おり、 この点では、 予算調整法案に組み込まれた農業法案と同様の構想となって いる。  ただし、 上院案については、 民主党の意向を反映して、 農村地域開発、 困窮者 向けの食糧切符の配給、 研究開発などの項目が付け加えられたこと、 また、 下院 案については、 既に、 昨年、 農業法案との切り離し審議が決まっていた酪農関連 の規定が盛り込まれたことが異なっている。

酪農政策の柱は価格支持の段階的廃止など

 下院案に盛り込まれた酪農関連の政策を具体的にみると、 1) 乳製品の買い上 げによる加工原料乳の価格支持制度を、 2000年までの5年間で段階的に廃止する、 2) 96年の加工原料乳の支持価格を100ポンド当たり10. 15ドルとし、 2000年まで 毎年10セントづつ引き下げる、 3) (価格支持制度と関連する) 生産者賦課金制度 を廃止する、 4) 連邦ミルク・マーケティング・オーダー (MMO) の地域区分を98 年までに改編し、 新しい区割りに基づくMMOを2000年までにスタートさせる、 5) 乳製品輸出補助金制度 (DEIP) を2002年まで継続し、 ガット合意の範囲内で最大 限に活用する、 などとなっている。

議会、 政府ともに新農業法の成立を急ぐ声が

 上院案と下院案の違いを調整して、 議会案として一本化するために、 今後、 両 院協議会が開かれることになる。 両案の差異が大きいため、 調整には難航も予想 されているが、 有力議員である下院農業委員会のロバーツ委員長は、 速やかに統 一案を取りまとめたいとしている。  一方、 政府側も、 両院の案の一部に対して懸念を表明しているものの、 議会同 様、 新農業法の早期成立を望んでおり、 拒否権の発動をなるべく避けたい意向で あるといわれている。
元のページに戻る