農務省、 CRP 休耕期間の早期終了を許可 (米国)



穀物需給のひっ迫を考慮

 米国農務省 (USDA) は、 現在の穀物需給のひっ迫を考慮して、 土壌保全計画 (CRP) の下で休耕地となっている農地の一部について、 今春から生産活動を再開 できるよう、 休耕期間の短縮を認めると発表した。  CPRは、 85年農業法で初めて制定された、 土壌保全を目的とする農地の休耕助 成制度で、 90年農業法でも継続されたものである。 CRPに参加した生産者には、 10年から15年間の休耕の代償として、 毎年助成金が支払われる。 この制度の下で、 これまでに約3, 640万エーカー (1エーカーは約0. 4ヘクタール) の農地が休耕 地となっている。 土壌流出の危険度が低い土地に限定  今回、 休耕期間の短縮が認められるのは、 96年9月末に休耕期間が終了する約 1, 530万エーカーのうち、 農業生産を再開しても土壌流出の危険性が低いと考え られる土地に限られる。 このため、 実際に期間満了前に休耕を停止し、 農産物生 産や採草・放牧などを再開する場合には、 当該農地の土壌保全および利用計画を 作成し、 USDAの承認を受けることが義務づけられている。  USDAのCRP担当局は、 今回の措置により、 100万エーカーから300万エーカーの 農地について休耕期間が短縮されるものと予想している。

CRPの継続も同時に主張

 グリックマン農務長官は、 今回の措置について、 需給のひっ迫に対応して作付 け面積を拡大する機会を生産者に与えるものであるが、 許可対象を限定すること で、 土壌保全計画に影響を及ぼすことはないとの見解を述べている。  また、 同長官は、 一定の農地で休耕期間を短縮する代わりに、 土壌保全の必要 性がより高い農地を、 新たにCRPの下で休耕地とする必要があるとしている。 し かし、 95年末に90年農業法が失効したため、 USDAは、 生産者とCRPに基づく休耕 契約を結ぶ権限を既に失っている。 このため、 現在、 USDAは、 議会に対し、 CRP の継続を新農業法に盛り込むよう強く働きかけている。
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