農務省がパッカーの寡占化の影響に関する報告書を発表 (米国)



パッカーの価格支配の証拠は得られず

 米国農務省 (USDA) は、 先頃、 食肉パッカー業界の寡占化の影響に関する報告 書を発表した。 この報告書は、 主に肉牛の取引実態、 価格決定方法、 特定パッカ ーに対する専属供給契約などについて、 USDAや大学機関が92年4月から1年間を 対象として行った調査を基に作成されたものである。  この中で、 USDAは、 生産者が最も関心を寄せているパッカーの価格支配の問題 について、 パッカーの寡占化が進行していることは事実であるとしたものの、 こ の期間に、 寡占化により肉牛価格に悪影響が及んだとする決定的な証拠はないと の結論を示した。

寡占化の影響について追加調査を実施

 しかしながら、 グリックマン農務長官は、 この調査が短期間に行われたもので あることや、 パッカーの価格支配の問題に焦点を絞ったものではなかったことを 挙げ、 実態の解明には不十分であることを認めた。 そして、 新たに、 農業関連産 業の寡占化問題に関する諮問委員を設置し、 主に生産者サイドに立って調査を進 めるほか、 広く関係者の意見聴取を行うことを目的に、 意見交換会を開催するこ とを明らかにした。  この諮問委員会は、 畜産関係者やエコノミストら21名で構成され、 今年6月7 日までに、 農務長官に対し答申を行うとされている。

生産者団体とパッカー団体は相反する反応

 こうしたことを受けて、 生産者団体である全国肉牛・牛肉協議会 (NCBA) は、 同報告書を 「実態解明への第一歩」 と位置付け、 新しい諮問委員会による調査の 継続に期待を表明している。  一方、 パッカー団体の米国食肉協会 (AMI) は、 今回の報告書で、 パッカーは 最近の肉牛価格の低落について何の関わりも持たないことが明白になったとして、 この種の調査が継続されることに反発を強めている。
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