米国の牛肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○牛肉の輸出入動向


● 96年4月は、 記録的な輸出量


 米農務省 (USDA) によると、 96年上半期の牛肉の輸出量は45万2千トンとなり、 前年同期比21.5%、 実数では8万トンの大幅な増加となった。  月別の動向では、 1月から3月にかけては前年同月比13.6%から34.6%の増加、 4月には9万4千トンと前年同月比58.5%の大幅な増加となったが、 5月には8 万3千トンと、 前年同月比14.8%の増加にとどまった。 さらに、 6月に、 日本及 び韓国への輸出が牛海綿状脳症 (BSE) 問題の拡大の影響で引き合いが減少した ことにより、 前年同月比、 5.1%減の7万トンとなった。  96年上半期の輸出量の増加の要因について、 米国内の牛肉価格の低迷によりパ ッカーの輸出志向が高まったこと、 豪州の輸出競争力が低下したこと、 日本の輸 入関税が46.2%に引き下げられたこと、 韓国政府の牛肉の大量購入やメキシコの 輸入が増加したためであるとUSDAは分析している。  なお、 96年下半期の輸出量については、 業界関係者の一部は、 日本での病原性 大腸菌問題やBSE問題の影響によるマイナス要因があるにもかかわらず、 メキシ コやカナダへの輸出の増加により、 上半期同様、 前年度比べて20%程度増加する ものと見込んでいる。

● 対日輸出量は急増


 96年上半期の相手国の輸出量は、 日本向けが26万4千トン (総輸出量の58.3%)、 カナダ向けが6万9千トン (同15.2%)、 韓国向けが5万トン (同11.0%) とな った。  日本向け輸出量は、 4月から牛肉の輸入関税が引き下げられたことや、 早期の 輸入緊急措置 (SG) の発動を想定して、 需要家が前倒し手当てを行ったことから、 4月には前年同月比60.0%、 5月には同20.9%、 6月には同2.0%の増加となり、 4月から6月の合計は14万3千トンと、 同26.2%の増加となった。  また、 メキシコ向けの輸出については、 今年は通貨の下落に伴う同国の輸入の 制限が解除されたことから、 96年上半期には、 3万1千トンと、 前年同期比66.1 %の大幅な増加となった。

● 輸入量は、 前年に比べ減少


 一方、 96年上半期の輸入量は、 46万9千トンと前年同期比7.0%の減少となっ た。 これは、 米国内の牛肉価格の低迷と加工用に使われる経産牛のと畜に増加に よって、 国内産の牛肉が、 豪州やニュージーランドなどからの牛肉にとって代わ ったこと、 また、 輸出国側でも豪州の天候良化に伴って経産牛のと畜が減少し、 加工原料用牛肉の供給が減ったことによるものである。  国別にみると、 豪州からの輸入量は10万7千トンと前年同期比32.8%減少し、 また、 ニュージーランドからの輸入量も14万5千トンと前年同期比8.0%減少し た。 この結果、 ニュージーランドは、 豪州を抜いて米国にとって第1位の輸入相 手国となり、 豪州は、 12万4千トンの輸入があったカナダに次いで第3位となっ た。
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