タイの鶏肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○タイの鶏肉需給


● 国内鶏肉価格が大幅に上昇


 バンコク市内の鶏肉価格は、 7月に入って大幅に上昇し、 夏季の高温による発 育低下という季節的な要因以外にも要因があることが明らかになってきた。 この 原因として、 ブロイラー加工輸出協会は次の3点を指摘している。 1) 飼料価格 の高騰に伴い、 生産を縮小する動きが出てきていること (中には、 豚肉価格が高 水準を維持していることから、 利幅の大きい養豚事業への転進計画を持っている 企業もある。) 2) 幾つかの農場で、 ブロイラーが1.2キログラム (目標体重の7 割) 前後で発育を停止するという現象が現れ、 生産計画に影響を及ぼしているこ と (原因は、 現在、 調査中である。) 3) 豚肉価格の高騰で需要が引き続き鶏肉に シフトしつつあり、 国内需要が対前年比で少なくとも15%程度伸びていること。 一方、 生産量はほぼ前年並みで推移しており、 このため、 需要が供給を上回って いる状況にある。

● 飼料原料関税の還付、 関税局への登録作業中


 輸出鶏肉の生産に仕向けた飼料原料に係る輸入関税の鶏肉生産者への還付は、 生産テコ入れ効果を有すると考えられるがその方針が既に閣議決定されているこ ともあって、 事務作業は順調に行われている。 現在は、 鶏肉生産会社が必要事項 を記入した申請書を関税局に提出し、 登録が行われている段階である。  タイでは、 今年に入って主要産品の輸出が全般に低調なため、 早急な対応策が 求められており、 飼料に係る関税の還付は、 鶏肉や養殖水産物業界にとっては、 有望な競争力強化対策とされている。  タイ関税局還付課によれば、 鶏肉生産原料で輸入関税の還付が認められるのは、 トウモロコシ、 大豆ミール、 魚粉の3品目に限られ、 他の生産資材、 例えばワク チンなどは、 使用時期や頻度の証明が困難なため、 対象とはならない。 政府がブ ロイラー加工輸出協会と協議して定めた、 鶏肉1トンを生産するに要する飼料原 料の数量は、 次の通りである。  輸入関税の還付は、 2次関税に対しても適用される。 例えば、 大豆ミールでは、 1次関税が15%、 2次関税が119%、 ミニマムアクセス数量は83万トン (96年度) と設定されている。 関税の還付は、 こうした関税割当ての意味を実質的に失わせ るものであるが、 ブロイラー加工輸出協会では、 2次関税部分が高い金利負担と なるため申請者はいないと見ている。  なお、 登録終了後に飼育を開始したブロイラーの輸出について還付申請書が提 出されるため、 還付が実現するのは早くても今年末になるものと思われる。
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