世界の飼料穀物の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○トウモロコシの生産予測を下方修正 (米国)


● 作付面積・単収ともに下方修正


 米国農務省 (USDA) は、 8月、 実地調査に基づく最新の穀物需給予測を発表し た。  これによると、 米国の96/97年度のトウモロコシの作付面積は79.6百万エーカ ー、 単収は118.7ブッシェル/エーカーと、 いずれも前月発表の予測を下回り、 この結果、 生産量は、 前月発表の予測値を4.6%下回る、 8,695百万ブッシェル (約221百万トン) になるとされた。  今回の予測で作付け面積、 単位収穫が、 いずれも予想を下回ったのは、 今春の 天候不順による作付けの遅れが、 トウモロコシの生育にかなりの影響を及ぼした ためとみられている。  また、 その後に発表された民間の大手調査機関による報告では、 トウモロコシ の生産量は約82億ブッシェルと、 USDAの下方修正後の予測をさらに6%下回ると され、 取引関係者に衝撃を与えた。

● 先物取引価格が再上昇


 今回発表された2つの生産予測は、 いずれも不作だった前年度を上回る水準で あるとはいえ、 関係者からは危機的な在庫不足にある需給の緩和は達成できない 水準とみなされ、 一時沈静化していたトウモロコシの取引価格が再び上昇した。  シカゴ商品取引所 (CBoT) では、 5月から6月にかけて1ブッシェル当たり5 ドルを超える水準で推移していたトウモロコシ先物取引価格が、 7月には主産地 がまずまずの天候に恵まれたこともあって3ドル台の前半まで低下した。 しかし ながら、 USDAの予測発表の後は3ドル70セントまで上昇した。  その後、 トウモロコシの取引価格は、 病虫害発生の報告や、 初霜の予想等によ って揺れ動いているが、 基本的に、 一時期のやや明るい見通しは影を潜めた状況 となっている。

● 世界の粗粒穀物需給もひっ迫基調


 USDAは、 米国の生産見込みと併せて、 トウモロコシを含む粗粒穀物について世 界の需給予測を発表した。  これによると、 96/97年度の生産量は前年度を上回るものの、 自国内の在庫積 み増しのための需要が大きいため、 輸出量は前年度を下回り、 需給は引き続きひ っ迫基調で推移するとみられている。 96/97年度穀物需給予測(USDA、96年8月発表)
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