米国の牛乳・乳製品の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○上半期の生乳及び主要乳製品の生産動向


● 生乳生産


 米農務省によると、 96年上半期の全米の生乳生産量は、 3,577万トンと前年同 期の3,604万トンと比べ0.8%減少した。 第1四半期は、 乳牛の飼養頭数が減少 (前年同期比0.7%減) したものの、 うるう年で2月が1日多かったことや1頭当 たりの乳量の増加 (前年同期比1.2%増) により前年同期比で0.4%増加の1,774 万トンとなり、 また、 第2四半期は、 飼料価格の高騰や酪農家の生産意欲の低下 により、 乳牛の飼養頭数は引き続き減少 (前年同期比1.0%減) したのに加えて、 厳しい暑さにより、 1頭当たりの乳量も減少 (前年同期比0.9%減) したことに より、 前年同期比1.9%減少の1,803万トンとなった。  全米生乳生産量の約8割を占めるカリフォルニア州やウイスコンシン州などの 主要22州の上半期の生乳生産量も、 3,082万トンと、 前年同期の3,100万トンと比 べ0.6%減少した。 これらの州では、 第1四半期は、 生産量が前年同期比で0.7% 増加したが、 第2四半期には、 前年同期比で1.9%減少した。 なお、 2月の生産 量を平年日数で調整すると、 第1四半期の生乳生産量も、 前年同期比で0.4%減 少することになる。  なお、 96年上半期の生乳の農家販売価格は、 前年同月を7.9%から24.0%上回 って推移した。 これは、 生乳生産量の減少に伴う供給不足の下で、 高値で取引さ れているチーズや他の乳製品向けの需要が強いことにより生じたものと考えられ、 この傾向は、 今後も継続するものと思われる。

● チーズ生産


 96年上半期のチーズ生産量は、 165万8千トンで、 前年同期の156万トンと比べ 6.3%増加した。 月別の生産量も、 前年同月比2.8%から11.4%増と、 すべての月 で前年を上回った。 これは、 生乳の生産量の減少から、 今後のチーズ向け生乳供 給の見通しが不透明なため、 メーカーが当面の生産量を増加させたことが一因と 見られる。  なお、 そうした状況下でもチーズ価格は、 前年を大きく上回って推移している が、 これは、 チーズ需要の増加と、 卸売業者が販売量を確保するため在庫を積み 増していることにより、 生じたものと考えられる。

● バター生産量


 96年上半期のバターの生産量は、 生乳生産量が減少していることを反映して減 少し、 28万9千トンと、 前年同期の32万8千トンと比べて11.8%減少した。 月別 の生産量も、 前年同月比3.0%から26.7%減と、 すべての月で前年を下回った。  なお、 グレードAのバター価格は、 生産量の減少により、 96年3月を除いて前 年同月を上回って推移しており、 6月には、 前年同月比で85%の上昇を記録した。  米国のバターの消費量は、 健康志向の高まりによる消費者の忌避傾向により、 最近まで減少傾向で推移してきたが、 バターの脂肪組成の優位性を論じたレポー トが反響を得たことや小売価格の低下、 また、 関係団体の販促キャンペーンの効 果や消費者の 「本物志向」 への回帰により、 需要がわずかながら増加傾向に転じ たといわれている。

● 脱脂粉乳の生産量


 96年上半期の脱脂粉乳の生産量は、 生乳生産量が減少していることを反映し、 27万7千トンと、 前年同期の32万7千トンと比べて15.4%減少した。 月別の生産 量も、 前年同月比9.6%から15.4%減と、 すべての月で前年を下回った。
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