台湾の豚肉の需給動向


◇絵でみる需給動向◇

○肉豚価格と豚肉輸出動向


● 肉豚価格、 2年ぶりに前年同月を下回る


 7月の肉豚卸売価格 (全国22市場の平均取引価格) は、 前月より2.3%値下が りして100キログラム当り6,630元 (約26,520円) となり、 ほぼ2年ぶりに前年同 月を下回った (−0.8%)。 肉豚卸売価格は依然として高い水準にあるとはいえ、 8月の価格はさらに下降傾向にあり、 下旬に入ってからは、 主産地の一部では、 100キログラム当り6,000元 (約24,000円) を下回る市場も出始めたと伝えられる。  一方、 需給の面では、 その9割を日本市場に依存する輸出について見ると、 7 月は約1万3千トンと、 7月1日からの豚肉輸入緊急措置 (セーフガード:SG) の発動を反映して、 前年同月比で39.8%減少しており、 過去最高を記録した前月 と比較すると62.2%の急減となった。

● SG期間中の豚肉業界の対応力がポイント


 7月の輸出について冷凍品、 冷蔵品別の内訳を見ると、 特に冷凍品が大幅に減 少している。 冷凍品の輸出が4,069トンと、 対前年比で31.4%と極めて不調であ ったのに対して、 冷蔵品の輸出は9,100トンと、 対前年比で102.1%と微増ではあ るが、 過去最高を記録し、 対照的な動向を示した。  7月における冷凍品輸出の大幅な落ち込みは、 7月からのSG発動を折込んだわ が国の加工業者を中心とした需要者が、 5〜6月に大量の 「駆け込み」 輸入を行 ったことの反動が表れたものである。 なお、 7月末のわが国の豚肉在庫は、 27万 9千トンと、 過去最高であった前月に次ぐ水準となっている。  台湾の輸出依存度は約3割であるが、 今回のSG発動期間は本年度末までであり、 前回の発動期間 (95年11月〜96年3月) に比べると長丁場となっていることから、 市況予測の面では、 養豚・豚肉産業の今後の対応ぶりが注目されるところである。 ただし、 7月からのSG発動は、 予め折り込まれた部分が相当あり、 かつ、 昨年度 の発動時の経験を踏まえて、 養豚・豚肉関係者は、 事態への適応力を高めてきて いるとの見方がある。  一方、 このような状況を踏まえ、 台湾省政府農林庁は 「養猪報導」 (政府刊行 物) において、 需給対策として、 これまで提唱してきた計画生産や秩序ある出荷 といつた指導のトーンを強め、 必要があれば母豚の淘汰によつて生産過剰を低減 し、 肉豚価格の安定を維持することの必要性を訴えている。
元のページに戻る