牛乳乳製品の消費拡大キャンペーンの現状と実施方針を報告 (EU)



● EU予算での消費拡大事業


 EU委員会は、 この程、 牛乳乳製品の消費拡大キャンペーンの現状と今後の方向 に関する報告を行い、 今後は、 これまでの成果に基づいて、 スポーツ関係のイベ ント活動などを拡大してキャンペーンを展開することを発表した。  このキャンペーンは、 牛乳乳製品の消費拡大を図るべく、 健康食品としての栄 養面の啓蒙普及、 また自然食品としてのイメージづくりを課題として、 EUの全額 負担により実施されているものである。

● 若年層に効果的なスポーツイベント


 今回の報告によると、 94/95年度には、 ドイツ、 イギリスなど5カ国で、 新聞 雑誌、 テレビといったメディアを通じた啓蒙普及が実施され、 この結果、 ドイツ では、 飲用牛乳の消費量が4.1%増加したとされている。  また、 フランス、 ベルギーなど3カ国では、 スポーツイベントを開催して、 製 品を展示するといった手法が取られ、 若年層の牛乳への関心を高めるのに非常に 有効だったと報告されている。 また、 スペインでは、 「牛乳と健康」 週間の設置 などの活動を行った結果、 95年1月からの9カ月間で低温殺菌牛乳の消費が23% 増加したとされ、 ポルトガルでは 「ミルクキャラバン」 と称して31カ所の海水浴 場を回り、 多くの関心を呼び起こしたとされている。

● 本年もTVコマーシャルなどで若年層にアピール


 既に開始されている95/96年度のキャンペーンは、 特に25歳以下の若年齢層に 的を絞ったものが多く、 (1)若年層向けの新聞雑誌やTVコマーシャル、 (2)スポー ツに関連したイベントの開催や後援活動、 (3)学校やアスレチックセンターなど へのビデオやパンフレット、 ポスターの配布、 などの啓蒙普及活動が展開されて いる。  特に、 25歳以下の年齢層に絞り込んだ理由としては、 これまで受動的に牛乳を 消費していた階層に、 積極的に飲んでもらおうとの狙いがある。  なお、 キャンペーンの総予算額は、 908万ECU (約12億7千万円) となっており、 新聞雑誌やテレビの利用に67%、 スポーツイベントおよびセミナーの開催や後援、 ミルクの日の実施、 店頭販売などのイベント活動に16%が割り当てられている。

● 今後は、 妊婦、 高齢者にも力点


 96/97年度については、 今後各国の実施主体から、 具体的なキャンペーンのコ ンセプトが提出されるが、 前年度同様、 25歳以下の階層を第一の対象とし、 次い で、 カルシウム、 ビタミンの補給といった観点から、 妊婦、 高齢者に力点を置く としている。 予算額は、 総額で前年並みを予定しているものの、 これまで良好な 成果を収めているスポーツイベント活動などの分野については、 増額が予定され ている。  なお、 94/95年度におけるキャンペーンの対象品目は、 飲用牛乳のみとされて いたが、 以後は乳製品も対象に含まれることになった。 ただし、 バター、 チーズ といった特定の品目に限定することは回避し、 乳製品全体としての消費拡大を行 うことが目的とされている。
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